2人なら Yuzin.S ページ10
貴方side
A｢はぁ…｣
返された模試の成績表を見て、ため息が出た
志望校の欄にはDの文字
もう3年の秋なのに…
先生には志望校のランクを下げることを勧められた
A｢そりゃそうだよね…｣
だって私はこの受験を失敗することは出来ないし、絶対に大学に合格しないと…！
ふぅと息を吐いて、共通テスト対策の参考書を開きながら
学校を出た
悠仁｢A〜！｣
と大声がして、後ろを振り向くと
彼氏の悠仁が駆けてきた
A｢あ、悠仁。今日部活はないの？｣
悠仁｢今日は休み！｣
A｢そうなんだ｣
悠仁｢なに、何か元気なくね？｣
悠仁は2年生で部活を頑張っている
寒くなってもこんがりした小麦肌がそれを証明してる
A｢あー…ちょっと模試の成績が良くなくて｣
正直にそう言うと
悠仁｢何だ、そんな事で落ち込んでんの？｣
A｢そりゃもう冬になるんだから成績大事だよ｣
悠仁｢そっか。でもこれから頑張ればいいじゃん！｣
眩しい白い歯がそう笑った
そんな簡単な事じゃないのに…！
A｢悠仁には分かんないよ！｣
いつもならそのポジティブさに励まされるけど
今だけはそれが受け入れられなかった
悠仁｢へ…｣
A｢そんな簡単に言わないでよ！私だって頑張らないとって思ってる！けど、悠仁みたいにポジティブに居られないの…！｣
あ…
気づいた時には酷いことを悠仁に言ってしまっていた
A｢ごめ、ん｣
目を丸くした悠仁から逃れるように背を向けて走り出した
酷いこと、言っちゃった…
自分の部屋の椅子に座って過去問を解こうとしても手が動かない
メールで『さっきはごめんね』と送ったけど
既読されただけで、返事はない
怒らせちゃったよね…
何もかも上手くいかなくて、涙が出てくる
悠仁は私の事を励ましてくれただけなのに
模試が上手くいかなかったことを悠仁に八つ当たりしてしまった
A｢もう、最悪…｣
なんとかシャーペンを持って問題に向き合うけど
悠仁の傷ついた顔がよぎって集中出来ない
ただ時間が過ぎていって窓の外は、もう星が煌めいていた
A｢…なんかあったかい飲み物でも入れてくるか｣
気持ちを入れ替えようとキッチンに向かうと
ピコンッと通知音がした
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作者名：いろは | 作成日時：2021年10月28日 0時
