できることなら君の傍で。 (ページ4)

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「あーあ、早く免許とりてー」

「なんで？薮、もう１８じゃん。」

「一応もう受験ですから。親に大学合格するまで免許とるの禁止されてるんですぅ」

「薮んちの親御さんは厳しいんだね」

「まあなっ」

あれから数ヶ月、

俺と薮は相変わらず毎日喋っていて、

お互いに呼び捨てで呼びあえるくらい仲良くなれた。

「もうすぐ受験だから、こうやって会えることも難しくなる」

「…うん。」

薮は、ぎゅっと俺を抱きしめた。

「ちょ、薮っ！人が、見てるよ！」

「光」

薮の俺を抱きしめる力が強くなっていく。

俺も、そっと手を背中にまわした。

「受験終わったら、急いで免許とるから。そしたら、二人で海にでも行こう」

「うん」

「俺の親にも、光とのこと話してさ。いつか一緒に暮らそう」

「うん」

「あとさ、伊野尾たちとさ、」

「…ふふっ、」

「なんだよ。」

「ううん、俺…幸せだなっ、て。」

「…光。」

微笑む薮は、優しかった。

薮の優しい香りが、俺のことを包んでくれた。

それだけで良かった。

「俺も、光といれて幸せだよ」

うん。

俺は、薮の幸せが一番の幸せだから。

「受験、頑張ってね」

「おう」

優しい薮。

大好きな薮。

しばらく会えなくなるのは寂しいけど、

薮が頑張ってるなら、

俺、待ってるから。