乗り越えろ、過去を。【2】

▽心配 ページ35

コマンダーside




…あつい。




ぼんやりとする意識の中。



感じるのは、ひどい頭痛と激しい倦怠感。



気にしないようにしていた熱は、もうはっきりと自覚せざるを得ないくらい上がっているようだ。





コマンダー「…ぅう、…」





…だめだ。


目を開けるのも億劫だ。





…でも。


このまま目を覚さなかったら、一体何をされるか…


"また"、捨てられてしまうかもしれない。





…そんなの嫌だ。


まだ、＿＿死にたくない。





コマンダー「…はぁッ、」





過去を思い出した途端、鋭く痛む右足。



体を動かすのもしんどくて、ただただ唇をぎゅっと噛み締めて耐える。





「大丈夫だよ、コマンダー。」




どこからか優しい声がした気がして。



頭をぽんぽんと撫でられる感覚。





…あれ、痛みが徐々に消えていく…？



脳裏に浮かんだのは、優しく頭を撫でてくれる…




コマンダー「…ん、……にの、さん…？」



「ごめんな。

ニノさん、って人じゃない。


俺だよ。俺…ファルコンJrだよ。」



コマンダー「ふぁ、る…？…っえ、」




一気に目が覚める。



重たいまぶたを無理矢理こじあけると、心配そうに俺を覗き込むファルコンJrと目が合った。




コマンダー「さ、…さわ「触るな、でしょ？わかってる。」…！」




止める前に、すっ…と離れていく手。



ちょっとだけ、名残惜しいと思ったのは……なんだかニノさんと被って見えたからだろうか。





ファルコン「ごめんな。

痛そうにしてたから、少しでも楽にしてあげたくて。」



コマンダー「…っ。」





優しく笑うファルコンJrがなんだか眩しくて。



『余計なお世話だ。』



本心じゃない強がりが、喉まで出かかって消えた。





ファルコン「体調はどう？」



コマンダー「……問題「ない、とは言わせないよ。」…え？」



ファルコン「熱、39度。

意識も失ってたし。

今も相当しんどいだろ。」



コマンダー「……。」



ファルコン「なぁ、コマンダー。


目覚めたばかりにこんなこと言うのはあれだけど…


落ち着いたらでいいから。

聞かせてよ、コマンダーのこと。

もっと知りたいんだ。」



コマンダー「…っ、、…。」



ファルコン「…ドクター呼んでくるね。」





にこり、微笑み立ち上がったファルコンJrは。



堅い意志を宿した、まっすぐな瞳をしていた。





…もう、逃げられないかもしれない。



いい加減、俺も覚悟を決めるか…。

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