乗り越えろ、過去を。【2】

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コマンダーside




「…後ろで手を組み、跪け。」



コマンダー「…ッ…！」




ゆっくりとチョウから降り立ったソイツが、俺の方へと近づいてくる。



それに合わせるように、ドクドクと早まる心臓がうるさい。





…来るな。


それ以上、近づくな…





「聞こえなかったのか？

後ろで手を組み、跪けと言っているんだ。」



コマンダー「…っ、、」




…動くな。


怯むな、俺。




そう…心では思ってるのに。




忘れられない過去のトラウマには、敵わないらしい。



ガクガクと震える足が、徐々に崩れていく。





はじめに、義足の右足が折れ…すぐに左足も。



立ち膝のような状態になる。





それから両手がゆっくりと動き、後ろで手を組む体勢になる。





…結局、ヤツの言う通りになってしまった。



悔しくて、悔しくて…



せめてもの抵抗で、両目をぎゅっと瞑った。





「ははっ、ざまあねぇな。」





下品な笑い声とともに、足音がさらに近づいてくるのがわかる。



思わず体に力を入れた。







＿＿ガンッ！






コマンダー「うっ！？」






直後、右頬に焼けるような痛みが走る。



殴られたはずみで、体が傾く。





「…誰が動いていいと言った？」






低い声が聞こえて、反射的に体を元の位置に戻す。






…ドガッ！！





コマンダー「ッ！」





そして今度は、左頬に大きな衝撃。



腹筋に力を入れ倒れないように踏ん張ると、それをいいことに次々と殴り続けられた。






「お前は一生…俺から逃げられねぇよッ！」






…悔しい。



徐々に朦朧としていく意識の中で、ただその思いだけが俺の中にあった。






強くなったと思っていたのに。



過去になんて、もうとらわれないと思っていたのに。






結局俺は、この人の呪縛からは逃れられないんだ…









＿＿ぽつりと。



透明な雫が、頬を伝った。

3→←▽トラウマ

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