乗り越えろ、過去を。【2】

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ファルコンJr.side




コマンダー「後から聞いた話だと、ニノさんはここからスパイとして、あそこに潜り込んでいたらしいな。


…どうりで、あの地獄のような場所で、唯一…綺麗な瞳をしている人だと思った。」



スコープ「ちょっと待って。

ここって…ジャニーズ、ってこと？」



コマンダー「あぁ、そうだ。

もちろんスパイのことは内密にされていたみたいだから、知らないのも当然だけど。」




そんなすげぇ人が、ここにいたのか…




コマンダー「…ニノさんは、とても優しい人だった。

スパイとして潜り込んでいるんだから、目立つ行動はしちゃいけないのに。



『俺は医者だ。

自分がどんな立場であれ、目の前の患者を放ってはおけないよ。』

って、俺の看病をつきっきりでやってくれて。



そして、この義足も。

片足がなくなった俺のために、寝る間も惜しんで作ってくれたんだ。


お陰で俺は、今も不自由なく動き回れる。



……なのに。」





コマンダーの顔が一気に厳しくなり、ギリっと歯を噛む音が聞こえる。





コマンダー「研究を頓挫させるべく、研究データを外部へ持ち出すため。


そして、俺を…あそこから逃がすため。

そのために、ニノさんは……自ら囮となって…」





そこからしばらく、コマンダーは言葉に詰まっていた。



唇をぎゅっと噛んで。



時折潤んだ瞳をぱちぱちと瞬きして。



泣かないように、必死に堪えているのがわかった。





コマンダー「…命からがら逃げ出した俺は…ここの社長に拾われた。


それも全部、ニノさんが裏で手を回してくれてたおかげなんだけど。


ニノさんから逐一報告を受けていた社長は、俺の置かれた状況もわかっていて。


ボスにバレないよう、ひっそりと匿ってくれた。



…しばらく静養したあと、俺は…


今度は、特殊感染体を倒すために。

あらゆる戦闘訓練を受けた。


そして最終的に、ここへの配属を決められたんだ。」



「「……。」」

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