切り開け、未来を。【1】

▽医者 ページ29

コマンダーside




ドクター「コマンダー！

お願いだから、診せて！！」



コマンダー「必要ないと言っただろ。」



ドクター「だから、それを判断するのが僕の仕事なんだって！」





ミッションを終え、さっさと自分の部屋へ戻ろうとしたのに…



ドクターに捕まってしまった。



隠していた右腕の麻痺もバレてしまったらしく、しつこく診察させろと迫ってくる。





診せて。必要ない。のやりとりも、もう何度目か…





昨日の件で、ドクターが簡単に折れない人だってことはわかってるけど。





それでも、やはり。


簡単に、弱みを見せるわけにはいかないから。





ドクター「待ってよ、コマンダー！」



コマンダー「いい加減にしてくれ！なぜそんなに構う？

ほっといてくれ！」



ドクター「ほっとけるわけないでしょ！！


目の前に、患者がいるんだから！

医者の僕が何もしない訳にはいかないッ！」



コマンダー「…！！…っぁ、…」





一瞬、ドクターと、あの人が。


重なって見えた。





『俺は医者だ。


自分がどんな立場であれ、目の前の患者を放ってはおけないよ。』





コマンダー「………ニノ、さん…」



ドクター「…え？」



コマンダー「…はっ！


…な、なんでもない…」




ふるふると頭を振って、彼の幻影を消す。




ドクター「コマンダー？」




不思議そうに顔を覗き込んでくるドクター。







…彼に悪意がないのは、もうわかっていた。



純粋に俺を心配してるんだろうなって。





昨日の薬だって。



ずっとしんどかったのに、飲んだらすぐに呼吸が楽になった。



相当腕がいいんだろうな。







…でも。彼を信じていいのか。







……いや、今回は。


さっきの言葉。


ニノさんとそっくりな言葉に。


賭けてみようか…





コマンダー「……俺の部屋でもいいか？」



ドクター「えっ…？」



コマンダー「診察するのは、…俺の部屋でもいいかと聞いている。」



ドクター「…！！

…うんっ！もちろん！！」

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