切り開け、未来を。【1】

▽夜 ページ33

ファルコンJr.side




…深夜。


ふと目が覚めてしまった。


目を閉じてベットの上でゴロゴロしてみるけど、一向に寝付く気配がない。




ファルコン「…はあ。」




気晴らしに水でも飲んでこよう。



そう思って、キッチンへと向かった時。



リビングルーム横のベランダから、何か物音が聞こえた気がして。





ファルコン「…？」





目を凝らしてみると、月明かりの下、誰かがベランダに置いてある木のベンチに座っているのがわかった。



…泥棒？


ではないと思うけど…




念のため戦闘態勢で近づく。




ファルコン「…なんだ、コマンダーか。

びっくりさせやがって…


……あれ？」




いつもなら、近づいただけで気配を察して向こうから声をかけてくるのに、今日は無反応。



…寝てるのかな？




ファルコン「起きてる。」




一応、目は開いていた。


だが、ぼーっとどこか一点を見つめていて、なんとなく視線が合わない。


こんなに間近で見ているのに、不思議な感覚。




ファルコン「おい、大丈夫か？」




しばらくそうしていたらなんだか不安になってきて、思わずコマンダーの方へ手を伸ばした。




…パシッ！




ファルコン「あ…」




あっさりと捕らえられた手。



…そうだ。


コマンダーは、体に触れられるのを極端に拒むんだった…





コマンダー「……え？

…ぁ、…。」





と、コマンダーが俺の手を掴んだまま驚いたような顔をする。



そして、気まずそうに目を逸らしながら手を離した。





ファルコン「…もしかして無意識？」



コマンダー「…。」




無意識、なんだな…




コマンダー「何してるんだ、…こんな時間に。」




見上げた空が真っ暗なのを確認し、そう聞いてくるコマンダー。




ファルコン「こっちのセリフなんだけど。」




黙り込むコマンダーの隣にさりげなく腰掛ける。


…と、側に置いてあるコーヒーカップが目に留まった。





ファルコン「え、まさかコーヒー飲んでるわけじゃないよな？」



コマンダー「…。」



ファルコン「寝ないつもり？」



コマンダー「…。」




…まったく。


都合悪くなると、すぐ黙るんだから…




ファルコン「もしかしてお前、毎日こうしてる？」




なんとなく…だけど。



手慣れた様子に、そんな気がして。




コマンダー「…。」




このだんまりは、イエスってことだな。




…なんか、徐々にコマンダーのことがわかってきた気がする。

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