ヒロインにストーカーされてます・合宿編

六十話 ページ11

｢いでっ｣

しまった、前見てなかった。だけどそこに立っていたのが国見だったので安心する。

｢ん、国見。どしたの？｣

｢ちょっと…先輩に話したいこと、あるんですけど…｣

｢え…私国見になんかした…？まあいいんだけど、桜井ちゃん達研磨連れて先行っといて｣

｢はーい｣

国見の話したいことってなんだ。私何か悪行を働いただろうか。それともあのことか。どちらにせよ、怖い。




｢い、いひゃいれす国見くん｣

｢…｣

体育館から結構離れた玄関口で国見に頬を鷲づかみにされた私の気持ち五文字で表して。いたい。骨砕けるんだけど。

｢…先輩。本当に、あれがドッキリだって、思ってんですか｣

｢え…｣

｢だとしたら、本当に貴方鈍すぎですよ。もう直接言いますけど、ほんとに俺は貴方が好きです｣

ドッキリだって言ったのそっちじゃん。てか、好きな人の頬鷲づかみにする？普通。

｢音駒の人に頭撫でられたり、セッターさんと異様に距離近かったり。なんですかチキンな俺への当てつけですか｣

自覚してんのかよ。

｢誤魔化したのは俺も悪いんですけど…けど、もう少し意識してくれても、良くないですか｣

｢ぐにびっ、いだい！｣

お前絶対握力24って嘘だろ。体力テスト手抜きしただろ。

｢…すいません｣

手の力を緩める。いやはずせよ。

｢…国見が、ドッキリだって言ったんじゃん…。それにドッキリにしてもそうでなくても、男子に抱きしめられるとか初めてじゃん。｣

｢それは知りませんよ｣

｢普通に言われるならまだしも…わかんないよ…｣

ちなみに普通に言われたことは二回ある。その内の一回がドッキリだったんだから信じてもしょうがないだろ？！

｢…じゃあ。俺が桜井みたいにまっすぐ好意をぶつければ、少しは意識してくれるんですか｣

何を言っているんだこいつは。あとまた手に力はいってんぞ。

｢…もうすぐ練習始まりますよ。｣

｢！？｣

そこに立っていたのは、烏野の影山君だった。ロードワークに出ていて入り口が分からずここに来たらしい。

｢…？何してんだ、国見。先輩だろその人｣

｢…影山には、関係ない。｣

｢…そうか｣

影山君は寂しそうに体育館の方に歩いて行く。待って助けて。

｢なんでまた私なのさ。普通桜井ちゃんの方に行くと思うんだけど。｣

及川だって桜井ちゃんが好きだ。あの木兎だって桜井ちゃんのことを可愛いと言っていた。性格だってびっくりするほどいい。

｢私は、ただの部活の先輩じゃんか。｣

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