sTella

君の日（ytsy） ページ45

君の日
の続きです。



side sy




優斗は変なところが頑固だ。



「ちっ、ヘタレヘコタレ口だけのくせに...」



優斗と付き合い始めてしばらく経つが、手を出すのは我慢しているようだった。どうやらおれが20歳になるまでは、とアイツの中で確固たる何かがあるらしく時々我慢のしすぎで死ぬんじゃねえかコイツ、くらい悶えてる時がある。バレてないとでも思ってるんだろうか。



「我慢して苦しいならはやく手出せよばーか」



そう思って策をねっては色仕掛けている次第だが我慢を煽るだけで成果は得られていない。



「...あ、いっそおれが抱く？あそれ良くない？」



おれはともかく、優斗は20歳になる。ちょっと解釈の違いは生まれるけど屁理屈にはなる。



「でもなぁ、いかにも抱きたいオーラ出されてるとそうもいかなくね...？」



そうそこなのだ。お互いに戸籍上同性であるが故に抱く抱かれるの問題が生じる。アイツはもうおれのことを抱くことしか考えてないのは明白。見てりゃわかる。



「まぁおれが押し倒せでもすれば気づくんだろうけど...どっちが抱くにしろ多分優斗の、20歳にならなきゃっていうボーダーは変わらない、はず。」



それを誕生日に決行したとして...そのボーダーうんぬんで突き放されたとしたら。



「...誕生日は嫌な思い出で終わらせたくない。」



じゃあやることは変わらない。

そして当日を迎え。
優斗は日付変わった直後にメッセージ送ってくれてたな、と思いながらメッセージは送らず電話をかけた。ワンコールで出た優斗はすごくピンピンしてた。



「おめでと。それ伝えたかっただけだから。寝な。」

『え、まってそうやん、ねえ、俺超嬉しい、電話してくれるなんて思ってなかった、いつもならこの時間そうやん寝てるし』

「うっせーよ。テンション上げるな。アドレナリン爆発すんぞ。寝ろ。あとでね。」



無理やり切った電話。ぽん、と直後にボイスメッセージが届いた。0:05の短いメッセージ。小っ恥ずかしいこと言ってんだろ、と思って聞いたら案の定『そうやん好き！大好き！愛してるよーーー！！』とか言ってた。恥ずかしい。その後もぽん、ぽん、と続けざまにたくさんのメッセージが送られてくるからさすがに、



「寝ろっつってんだろ」



一言送ってやった。20歳になるとは思えないほど子供みたい。




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