228 ページ31
「ご満悦？」
「お互い様だろ」
一静も数学の教科書を取り、次の授業でやるページを開いた。そのままシャーペンを持ち、芯を出した。
「とりあえず演習問題片っ端から解いてく？」
「だな。」
互いにページと問題を確認して、それぞれ解き進めた。
時計の針が動く音と、シャーペンの芯が擦り減る音、たまに溜息と唸り声。
「どーよ？」
「え、普通に止まってっけど」
「なんかむずいよな」
な、と言いながらシャーペンを転がして置く。両目を擦らないように、グッと少し抑えて温める。
「結構解けてるじゃん」
「マジ？」
俺のノートを見ていたらしい一静の言葉で、目元から手を退ける。一静のノートを覗き込むと、確かに解が同じ問題が数個ある。
「なんか、疲れた」
「麦茶取ってくる」
「さんきゅ」
伸びをしながら部屋を出ていく一静を見送る。先程奪われたスマホを手に取り、開いてみる。メールが1通きていた。花だろうと思い開くと、澤村からだった。
「今かよ」
練習試合から日が経ってからの連絡に思わず笑う。
『こないだはうちのヤツらがすまん。
というか、お前すごいヤツだったんだな。
うちのセッターふたりが喜んでたぞ。ーー』
「次はインハイで、か。」
「メール？」
麦茶の入ったピッチャーとグラスを2つ持って、一静が部屋に戻ってきた。立ち上がってグラスを受け取る。
「悪い。サンキュー」
「いや、ありがと」
テーブルに置かれたピッチャーを持ってグラスに注ぐ。一静の方に置くと「ありがと」と微笑んだ。
「花から？」
「いや、烏野の主将。」
「あー、あの人ね」
澤村が俺を睨んだ図を思い出したのか、少し不機嫌になる。「連絡取ってたんだ」と言いながら座って麦茶を口に含んだ。
「元々そんなに頻繁にやり取りしてなかったよ」
「まぁいいけど」
「スーパーヤキモチイッセイ？」
「ナニソレ」
違うけど、と少し不貞腐れた顔のまま俺を見る。
「連絡取るな、とかは言わないよ」
「まぁ、もうあんま取ることないよ。だって先週の話してんだよ？ウケない？」
「あの人の時間軸どうなってんの」
「主将くんは忙しいんでない？」
「ふーん」
スマホをテーブルに置いて麦茶を飲む。いつの間にか22時になろうとしていた。欠伸をする。
「寝る？」
「明日朝練ないよ」
「寝るのは悪いことじゃないだろ」
「確かに」
一静に倣って立ち上がり、一緒にベッドへ上がる。
「おやすみ」
ゆっくり落ちる瞼に逆らわず、意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！及川も花巻も友達思いだと思うので、嫌がってる堂島を連れていった先輩に嫌悪感示しそうだなと、この展開にさせていただきまました！なかなか松川夢ってないので、自分のためにも頑張ります！笑ありがとうございます！ (2022年8月11日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 展開が！！最高すぎます！！松川だけじゃなく花巻達まで不快に思ってる感じ本当に最高です...たくさん更新してくださるのでとても助かってます、これからも頑張ってください！^_^ (2022年8月11日 3時) (レス) @page5 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年8月9日 11時
