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「俺は奢んねーよ。奢んのは及川」
「なんでさ？！」
「まぁ俺らに負けたしな」
「1セットだけだし！！」
どうやら今日はラーメン屋に寄って帰るらしい。その前にまだ部活はあるが、だいぶ思考がそっちに引っ張られている。
「ほら、できんならさっさとコート入れよ」
「はーい」
溝口さんにせっつかれて四人が立ち上がる。一静が俺にタオルとドリンクを手渡した。
「頼むな」
「ん」
ひとこと言い残し、コートに入っていく。
少し遅れて俺も立ち上がり、監督たちの近くに置いていたルーズリーフがある場所に座った。鉛筆を手に取り、指先でバインダーを叩いた。
矢巾がレギュラーの方に入り、及川はまた大学生チームでプレーしていた。俺が入っていた時よりラリーが続いている。
ガリガリとルーズリーフに書き込みながら、修正箇所も書く。
ラストボールがコートに落ちた。
「整列！」
「ありがとうございました！」
矢巾が得点板を見て苦々しげに顔を歪めていた。その顔に、少し申し訳ないことをしたと思ってしまう。
「どうしたよ？」
「なんでも、ないです」
俺とわかって言葉を濁した矢巾に苦笑いする。
「俺と比べてんなら、"堂島が気持ち悪いだけ"って思っとけ」
「そんな、」
「A」
呼ばれて振り返ると、一静が悲しそうな顔をして俺を見ていた。理由はわかっているけど、俺よりも矢巾のフォローが大切だ。また矢巾に顔を向ける。
「いいな？返事」
「え、あ、はい」
「A」
「どうした？」
矢巾の返事を聞いて、一静に向き直る。
「どうしたじゃないだろ。さっきのは言うなって、中学の頃から言ってんのに」
「仕方ないだろ。矢巾のフォローすんのに、他になんて言えばいいかわかんなかったんだから」
溜息を吐いて俺を見る。一静の嫌いな言葉なのはわかっているが、それで潰れずにバレーを続けられるならいいとも思う。
「Aは気持ち悪くないよ」
「ハハハ」
「違うだろ」
「はいはい、"俺はフツーだよな"」
ん、と短く言って俺の頭を撫でる。一静の顔から悲しさは消えていないが、さっきより幾分穏やかになった。
「ほら、ストレッチ」
「手伝って」
「花が待ってるぞ」
俺の手を掴んだままその場に座る。開脚して背中を押せと、暗に訴えかけてくる。
「わがまま一静」
「嫌いか？」
「まさか」
好き、と小さな声で言えばやっと一静は微笑んだ。
ゆっくりと一静の背中を押す。小さく唸ったところで力を抜いて身体を起こさせた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！及川も花巻も友達思いだと思うので、嫌がってる堂島を連れていった先輩に嫌悪感示しそうだなと、この展開にさせていただきまました！なかなか松川夢ってないので、自分のためにも頑張ります！笑ありがとうございます！ (2022年8月11日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 展開が！！最高すぎます！！松川だけじゃなく花巻達まで不快に思ってる感じ本当に最高です...たくさん更新してくださるのでとても助かってます、これからも頑張ってください！^_^ (2022年8月11日 3時) (レス) @page5 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年8月9日 11時
