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「牛肉かけうどんの並、温玉追加で」
「同じのの大盛りで」
あの後、機嫌を直した一静は人目も憚らず俺と手を繋ぎ雑踏を歩いた。時折視線を感じたが前ほど気にならず、手を引かれるままに一静の後ろをついて歩いた。
うどんを注文して席で待っている間も、一静は何かにつけて俺に触れようとする。
「掌見せて」
言われたままテーブルの上に手を出す。少し嬉しそうな顔をして生命線を指先でなぞったあと、チラリと俺を見た。
「なに？」
「爪見せて」
手を裏返し、甲が上にくるようにして爪を見せた。
「へー、意外」
「何が？」
ただの動作に意外性なんて、と思いながら一静を見ると俺を凝視していた。
「今の、何か知らない？」
「知らん。なにこれ？」
「SM診断」
「へー」
そんなのあるんだ、と低い温度で言うと一静は緩く笑う。
「信じてねぇんだ」
「うん。差し詰め"S"の人の動作だったから、意外ってことだろ」
「セーカイ」
俺の指を摘んだり、爪を撫でたりしたあと、指を緩く絡ませた。あやすように、少し揺らす。
「Aも気にしなくなってきたな」
「まぁね。」
「お待たせ致しましたー」
店員がトレーを持ってこちらに来た。自然な動作でどちらともなく手を離し、会釈をしてそれを受け取る。
「以上でおそろいでしょうか？」
「大丈夫です」
「ありがとうございます」
一静に割り箸を渡して手を合わせる。
「いただきます」
一口分を取って出汁が飛ばないように啜った。
「食い過ぎた」
「胃袋が女子」
「表出ろ」
「今出ただろ」
会計を済ませて店を出る。普段からよく食っているつもりなだけで、食事量は多くないらしい。
「みんな大盛りなんかよく食えるよな」
「Aが少食なだけだから」
手を繋いで、なんとなく駅前の方へ歩く。すっかり陽も落ち、すれ違う人の顔も朧に見える程度だ。
「帰って課題か」
「しんど」
「一緒にやりゃなんとかなる」
俺の歩幅に合わせて歩いている一静が、ふと周囲に視線を巡らせた。なんだ、と思ったまま首を傾げれば腕を引かれる。
「どうかしたか？」
少し雑踏から遠ざかり、どこかの店の軒下に肩を並べて立つ。一静はポケットからスマホを出してメールボックスを開いた。
「母さんから部屋の写真きた」
「普通に忘れてたんだけど」
「出掛ける俺ら見て言わなかったらしい」
「申し訳なさ過ぎる」
スマホ画面を覗き込むと、絵文字と共に『契約してきたから』と見えた。
「入居は来週だとさ」
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！及川も花巻も友達思いだと思うので、嫌がってる堂島を連れていった先輩に嫌悪感示しそうだなと、この展開にさせていただきまました！なかなか松川夢ってないので、自分のためにも頑張ります！笑ありがとうございます！ (2022年8月11日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 展開が！！最高すぎます！！松川だけじゃなく花巻達まで不快に思ってる感じ本当に最高です...たくさん更新してくださるのでとても助かってます、これからも頑張ってください！^_^ (2022年8月11日 3時) (レス) @page5 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年8月9日 11時
