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カシャッ
シャッター音だと理解して、いつだったかも聞いたな、と思いながら瞼を上げる。ニヤニヤした及川と花巻が携帯を俺に向けていた。その少し後ろにいる岩泉は不機嫌だ。
「なに？」
「おはよ、A」
母は風呂に入っているのかリビングには俺らしかいない。一静の方を見ると、こちらもニヤニヤしている。
「なしたの？」
「無自覚こっわ」
「Aはこれで手ェ出されてねぇのキセキだわ」
「そういう約束だから」
頭はまだ寝惚けているのか全く会話が理解できない。腕を伸ばそうと動かすと重い。見ると一静の身体に腕を回していた。わかってからどんどん顔が熱くなる。
「そういうことか」
「おっそ」
「チッ」
「岩泉の舌打ち、久しぶりに聞いたな」
「今朝も聞いただろ」
言いながらソファと一静の身体の隙間から腕を抜く。伸びをして時計を見ると20時を過ぎていた。
「風呂入ったか？」
「Aちゃんに捕まってたまっつん以外はね」
「オフクロさんとオヤジさんは飲みに行った」
「仲良いな」
一静はまだなのか、と思いながら少し考えると花巻と及川、岩泉が不思議そうに俺と一静を見る。
「一緒に入ってきたら？」
「とんでもねぇこと抜かすな」
「今更だろ。合宿ん時はごっちゃだし」
まぁな、と言って一静を見ると丁度ソファから立ち上がった。
「行くよ」
「あ、一緒に入る前提ね」
「違うの？」
「いや、入る」
ん、と言ってエナメルバッグから着替えとタオルを出す。
「タオル、全員洗濯機入れとけば洗うからな。」
「それはオフクロさんがやってくれたー」
「そ」
どのくらい寝ていたのかはわからないが、母が既に終わらせていたのが少し気に食わない。
「着替え取ってくる」
「ん」
部屋へ行きTシャツと短パンを持って下に降りる。脱衣所を開けると一静がいた。隣でゴソゴソと炭と脂の匂いが染みた服を脱いでカゴに入れる。後ろから抱き締められた。
「あったかい」
「Aが冷えてんだよ」
顔だけを少し後ろへ向けるとキスされた。満足したのか俺から身体を離し、腕を掴んでそのまま風呂場へ引き込まれた。
「座ってな。洗うから」
「自分でやる」
いーから、とそのまま頭を洗われる。何もしないのもなんだし、と身体を洗い始めると笑われた。
「んだよ」
「子どもみたい」
うっさい、と言えば一静が小さく笑う。撫でられているのか洗われているのかわからなくなってきた。
「流すぞ」
言うとの同時にシャワーをかけられた。
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月23日 21時
