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家に入ることになり、風呂場へ行く。お湯を張る前に湯船を軽くスプレー洗剤をかけて、スポンジで擦る。
「あ、やってたの」
「うん。母さんは洗い物やって」
返事はせずそのままパタパタと足音が遠くなった。湯張りの設定をしてリビングに行くと、及川と岩泉が片付けを手伝っている。
「片付けの時までうるせぇな」
花巻は呑気にアイスを食っていた。
「お前はマイペースが過ぎるんだよな」
「Aは何やってたん？」
「風呂の用意」
台所を見ると一静と母が並んで洗い物をしている。
「一静くん、彼女は？」
「いないよ。なんで？」
「絶対モテるでしょ」
「バレーばっかだからさ」
そう、と少し残念そうにした母を見て笑った。チラッと俺を見る。
「Aもなんで彼女いないのよ」
「興味ねぇって」
「アンタら本当に男子高生？」
「そのはずだよ」
一静と笑って話していると、お湯張りが終わる音がした。
「花、やることねぇなら先入ってこい」
「うぃ」
花巻も持ってきていたエナメルバッグからタオルを取り出して風呂場へ向かう。玄関がバンッと大きな音を立てて開く。
「ただいまー！」
「及川ずっとうるせぇな」
「岩泉ちゃんと躾して」
「やってこれだぞ」
「駄犬かよ」
「俺は犬じゃないから！」
洗い物も終わったのか一静がこちらへ来る。そのまま俺の隣に座り、隠れるように手を握ってきた。少し力を込める。
「今朝言ってた写真は？」
「忘れてた」
ほい、と言いながらスマホの画面を見せていた。
「……送れ」
「岩ちゃんガチじゃん」
「韻踏んだ」
「ダサいリリックだな」
「狙ってないから！」
及川は言いながら送ったのか、携帯を確認した岩泉は満足そうな顔をした。
「及川、なんか忘れてない？」
「え？」
「なんで岩泉だけなのさ」
「はいはいはいはい」
一静に急かされてすぐさま写真を送る。
「これだけじゃないだろ？」
「狸寝入り……」
「まっつん怖ぇ」
「Aのことになると目がやばいからな」
「なんのこと？」
本人は無自覚か、それともとぼけたのか笑っている。一静のスマホを見ると、写真が4枚送られてきていた。それを開く。
「は？これも撮ってたのかよ」
覗き見た一静のスマホの画面には、一静に抱き締められながら寝ている俺と、至極幸せそうな顔の一静だった。寝返りを打ったのか俺の顔が見えるものもある。起きた時のも。
「まっつんにはオマケ付き！」
「及川明日100本サーブな」
「なんで？！」
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月23日 21時
