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朝食を摂って青城のジャージに着替える。荷物を持って階段を降りると、玄関に集まっていた及川達に母が話し掛けた。
「洗濯物、あるなら置いてってね。乾燥までしておくから」
「制服も置いてこなきゃないんで、一回帰ります」
「俺は家近いから大丈夫だよ」
「俺もー」
それぞれが断りを入れてるものだから母は引き下がった。珍しく玄関から出るのを見送るらしい。
「行ってくるわ」
「Aママ、また夕方ね」
「また来まーす！」
「みんな気を付けてね」
どこか嬉しそうな顔で俺たちを送り出す母に、なぜか嬉しくなる。弁当もしっかり五人分作ったらしく、及川と花巻はもう昼飯の話をしている。
「夜はバーベキューなんでしょ？！楽しみー！」
「うちの親父焼き奉行だから気を付けろよ。口うるせぇから」
「いっつも焼き役Aだもんな」
「だからさ」
高校の近くまで来ると、後輩らから声を掛けられる。
「チワっす！」
「……っす」
「よーっす」
「おはよー！」
「おう」
国見と金田一が走って俺らの方まで来た。国見は少し離れたところにいる。
「国見ちゃん、大好きなAちゃんの近く行けばいいじゃん」
「大好きとか、そういうんじゃないんで」
「だとよ」
「知ってるけど」
岩泉が俺の顔を見て言うが、分からずそのまま答える。それに満更でもない顔をしたのは一静だった。何。
「国見がどうしたの」
「Aは気にしなくていーよ」
「ふーん」
国見を見ると少しムスッとしている。
「国見、機嫌悪りぃの？」
「なんでもありませんよ」
「そか」
明らかに何かありそうだが、言わないなら仕方ない。一静の方を見るとこちらも少し不機嫌だった。
「なに、次は一静がご機嫌斜め？」
「……ハ？！」
「今、お前」
「チッ」
「今ので直った」
「ん？……あ」
気が付き赤面して俯いた俺の頭を一静が撫でる。
「もー！ホントまっつんもAちゃんもムッツリ！！」
「言い方」
「いつから名前呼びなん？」
「昨日」
「ハァ？！」
「及川マジ鼓膜死ぬ」
耳を塞げば一静も同じようにしていた。国見と金田一は話についていけていないようで困惑していた。それを見た一静が俺の肩を抱く。
「俺のだから、手ェ出しちゃダメな」
言いながら岩泉と、なぜか国見を見遣る。金田一は義務感から「ハイ！」と返事をしていた。
「でも普段の呼び方は松川にする」
「なんで？」
ん、と顎で岩泉を示すと及川と花巻は納得していた。
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月23日 21時
