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顔に熱が集まるのを実感しながら一静の方に顔を向ける。
「狸寝入りしてたろ」
「バレたか」
「まっつんってドM？岩ちゃんに殴られるよ？」
一静の突拍子のない行動に及川ですら呆れている。俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで、表情筋がおかしなことになっている。
「Aの顔ヤベェな」
「なんか、乙女」
「俺のAかわいいだろ」
「やめれや」
首筋にぐりぐりと押しつけられる一静の顔を抑えて抵抗する。ただイチャついてる様にしか見えないその光景が恥ずかしい。
「だー、もう。走りに行くんだろ」
「え、そーなの？」
「花、留守番するか？」
「マッキー庭でワンコと遊んでたら？」
ランニングへ行く準備をするために一静が俺から離れる。解放され軽くなった身体を伸ばして起き上がった俺を見て花巻と及川が口を開いた。
「猫みたい」
「Aちゃんはツンデレだし猫感あるよね」
「及川一回黙れ？」
キレながら言えば「ジョーダンだよ」と目を逸らしながら返される。
「ウェアとかあるの？」
「俺のでいいなら」
「貸してー！」
まだ寝ている家族を起こさないよう口元に人差し指を当てる。それを見て及川も静かになり、四人で2階の俺の部屋へ行く。
クローゼットにしまっているウェアを出して好きなのを着させる。俺よりタッパはあるがそこまで違和感はないと言って一度リビングへ行く。
「まだ行かないの？」
「まずは水」
「脱水になったら嫌だろ」
「確かに」
四人分の水をグラスに用意して飲ませる。それぞれ飲み終わり玄関から出ると、ゾロゾロと歩く俺らにリンゴが小さく吠えた。
「かわいい！柴犬？」
「そ。俺の妹」
「懐っこいな」
言いながら花巻と及川はリンゴを撫でる。
「油売ってねーで走るぞ」
「まずはアップから！」
「及川うるせぇ」
それぞれ好きなように身体をほぐしながら雑談する。岩泉が角を曲がったのが見えた。
「はよ」
「おう」
「おはよ」
岩泉が通り過ぎるタイミングで全員走り出す。
「岩泉はこれ走り終わったら上がれよ。風呂勝手に使っていいから」
「わかった」
最初はペースを合わせていたが、強豪校の現役バレー部員にはついていけず、結局一番最後に3周を終えた。
「お疲れ」
一静が俺に声を掛ける。それぞれクールダウンを終えて軽くストレッチをしていた。走り終えて俺もストレッチを終わらせ家に入る。母に言われて四人で脱衣所に向かう。洗顔、歯磨き、シャワーと分かれて身支度を済ませた。
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月23日 21時
