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ラーメン屋から松川と二人で帰る。いつも通りに戻った松川に安心しているからか、いつもよりも自然に接せられた。
「つか、今でもよくね?あの子がダメだった理由」
「んー?まぁ、そうだな」
松川が俺から視線を外して、考えながら話し始めた。
「あのコ、A狙いだったんだよ」
「俺?マネなのに?」
「そ」
マネなのは関係ないかな、と続ける。松川の言葉を待ちながら、俺狙いの理由を考える。
「中学の大会で見たらしいよ。それでヒトメボレだってさ」
「なんでそこまで知ってんの」
「聞き出したから」
松川の発言に若干の恐怖を覚える。そんな一個人の恋愛について元々首を突っ込むタイプではないし、なんなら「いいんでない?」と止めずに面白がって見る方のはずだ。
「だとしても、拒否る理由にはならなくね?」
尚も食い下がると溜息を吐かれた。
「俺らが一生懸命バレーやってる近くでイチャイチャされたらムカつくじゃん?」
「いや、俺あの子興味ねーし」
「だとしてもさ」
あのコがくっつくだろ、と不機嫌になりながら言う。松川の表情は暗くてよく見えないが、声から苛立ちを感じる。
「まぁ、松川がそんなに言うなら入れないよ」
「そーしてくれると助かる」
「おう」
家の前に着き、庭へ行ってリンゴを撫でる。松川も一緒になってしゃがむ。
「相変わらずAに懐いてるな」
「まぁな。毎朝鼻鳴らしてめんこいぞ」
笑顔で言えば、松川も笑った。
「A、帰ってたんなら何か言いなさいよ」
「母さんただいま」
「Aママこんばんは。」
お邪魔してます、と松川が言えば母は「一静くんいらっしゃい」と笑顔で返す。
「二人ともご飯は?」
「ラーメン食ってきた。」
「アンタの分も作っちゃったじゃない」
俺にだけいつも通り愚痴を言う母に「明日の弁当に入れてよ」と言えば、適当に「はいはい」と流される。
「部屋行くか」
「そだな」
立ち上がりリンゴに「おやすみ」と声を掛ける。松川も頭を撫でてから「またな」と言葉を掛けて家に入った。
「ただいま」
「Aおかえりー。あ、イッセーくんじゃん」
おひさ、と部屋着姿で言う姉に呆れながら素通りする。後ろで「無視すんな」と言われたがそれは「はいはい」と流した。松川が「久しぶり。薄着で風邪引くよ」と言うのが聞こえる。
「Aのオネーチャン相変わらずだな。」
「あんなんじゃ彼氏できねぇわ」
「そう言ってやんなよ」
階段を上がり部屋に入った。
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時