25 ページ26
及川に助け舟とも思えるタイミングで呼ばれそちらに行く。
「一応俺が普段やってる準備とか、サーブ練の時の作業をやらせてみたんだけど……」
「ドリンクはねー、そんなにまずくなかったよ！ね、岩ちゃん」
「あぁ。悪くなかった」
ドリンクの味が悪くなかったことに安堵し、手元のルーズリーフとカウンターに苦笑いする。
「サーブ練のやつ？見せて！」
「ちょ！」
止めるよりも先にバインダーごと奪われる。
「ん？このバッテンは何？」
「俺から見た感想」
「ふーん」
まじまじと見られる。別にただの感想だし、こんなに居心地の悪い思いをする必要はないがなぜか緊張する。
「ふむふむ、大体は俺と同じ感じかなー。ちょっと動き悪い子いるなーって思ってたから、納得って感じ」
ニコリと笑って言う及川に安心する。岩泉は何も言わずに名簿の後ろの紙を見ようと捲った。
「こっちのはなんだ？」
「サーブ練の、一人一人に関しての感想を書いてもらった。どれだけ今の段階で観察力あるのか知りたいから」
「無茶振り過ぎんだろ……」
わかってはいたが、誰もまともなことは書いていない。これから目を養わせるしかないが、俺がいなくなるまで最長でもあと半年だ。
「まぁーー」
「なんつった今！」
珍しく花巻がイラついた様子で声を荒げた。
声のした方を見ると、松川の胸倉を花巻が掴んでいる。
「ちょ！どうした？！」
「Aは関係ない！」
「関係なくはないだろ」
「うるせぇ！」
何がどうなっているのかわからず、一先ず2年を帰すことにした。矢巾にアイコンタクトで帰るように伝えると、察したように他の2年を連れて体育館をあとにした。
「花、落ち着けって。どうしたんだよ」
「あーもう」
自分の頭をガシガシと掻き「なんでもねぇ」と吐き捨てて去ろうとするが、やはり虫の居所が悪いのかムスッとした顔だった。
「花、このまんまじゃチームとして状態が悪いから解決しよう」
「……とりあえず」
「うん」
花巻を宥めながら話し始めるのを待つ。立っているのもなんだし、と及川が言いその場に座る。
「とりあえず、松はAに謝れ」
「俺？」
名前を出されて拍子抜けする。松川を見ると目を逸らした。
「なんで俺？」
「Aを揶揄ったのが気に食わないんだって」
「わかってんなら！」
「花、ありがとう。」
名前を呼び笑い掛けると花巻は目で怒る。
「花が優しいのは知ってる。けど、俺は大丈夫だから。」
花巻は目を伏せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます！負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月14日 0時
