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食事も終わる頃、家のチャイムが鳴った。いつも通りの6時38分。どちらかというと今日は少し早い。ネクタイと制服のジャケットを手に取り、玄関まで向かう。
「おはよ、松川」
「はよ、A。まだかかる?」
「少し上がって待ってて」
「ん」
玄関まで招き入れ、荷物を置いて松川を休ませる。持参していた水を飲みながら俺を待っている松川が少しかわいく思える。
「はい、お弁当」
「ありがと、いってきます」
「気を付けなさいよ」
「うん」
いてらー、と言いながらテレビを観ている姉を残して松川の元に向かう。
「お待たせ」
「ん。行くか」
幾分高い位置にある松川の顔を見上げながら話す。
松川との付き合いは長い。いつだ、幼稚園だったか。そのくらいから知っている。小学校は違ったが、親同士も仲が良かったのもありお互いの家を行き来していた。その頃には松川はバレーを始めて、追い掛けるように俺も始めた。
「Aはあれやったか?数学の」
「一応手は付けた。何もやってなかったら怒るじゃんあの人」
「んだ。面倒だよな」
松川の言葉に「ほんとにね」と言いながら歩く。
「よーっす。A数学の課題見して」
「おはよ、花。少しは自分でやれよ」
途中で合流した花巻は早速写す気満々だ。
「ちなみに俺もあれ全部埋めてないから。」
「意味ねーじゃん。松、貸して」
「ヤだね」
くだらない話をしながら歩く。ふと腕時計を見ると6時52分を指していた。
「ちょ、お二人さん。やばいから俺先行くわ」
「おー」
「気を付けろよ」
二人を残して走る。頭の中で段取りしながら部室に着くと、既に及川と岩泉がいた。
「おはよ」
「おっはよー!Aちゃん!今日も頼むよ」
「あいあい、おはよ」
急いで制服からジャージに着替える。シューズを持って慌しく部室を後にした。
体育館に着きポールを建て、そのそばにネットを置く。
タオルとビブスのカゴ、ボールがいっぱい入ったカゴを引っ張り出して、コート2面分用意する。
(あっつい。まだ春先なのに)
軽く汗を拭ってからスクイズを取りに行く。ついでに昨日使って干したタオルを取り込むためのカゴを抱える。
「堂島先輩、片方持ちます!」
「矢巾!さんきゅ、でも大丈夫!」
重ねて抱えまた走る。朝から走ってばかりだ、と口には出さないが呟く。
水汲み場でスクイズのカゴにセットで入っているスポドリの粉の袋を手に取って、スクイズに一人一人に合わせた濃さで作る。
「ジョーデキ」
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時