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一静と移動教室のために廊下を歩いていると、監督に呼び止められた。練習試合の予定もないし、見当が付かず向き直ると、重々しく告げられたのは−−
「月バリの取材?」
及川ではなく俺に言うあたり、監督は本当によく分かっている、と思うと同時に主将が誰かを見失いそうになる。
「メインは及川ですよね?」
「主将だからな。だが、チーム全体を取り上げたものになるらしい。全員に周知しておいてくれ。」
「分かりました」
監督は言うだけ言って背を向けて行ってしまった。俺と一静も一礼して廊下を歩く。
「及川が張り切るな」
「学祭だけで十分だっつーのな」
理科実験室に着き、それぞれ班の席に掛けた。
授業が終わり、教室へ戻る途中。丁度及川と岩泉、花巻となぜか国見、金田一まで揃っていた。
「北川第一組プラスアルファ揃ってどうした?」
「プラスアルファって俺?」
「花以外は北川第一だからな」
プラスアルファに入る俺と一静は花巻の隣に立つ。国見は明らかに嫌そうな顔をしているし、そんな国見と及川の間に挟まれている金田一は冷や汗をかいていた。
「バレー部でなんか学祭ステージ立てないかなぁって話してた!」
「それ主に及川と花が話してたろ」
「せーかぁい」
やっぱな、と一静が笑った。国見は移動教室の帰りに捕まったのか、教科書類を抱え直しながらもその場にいる。
「金田一は?なんかあったか?」
「あ、いや、国見が教室にいなかったんで来てみたら……」
「だとよ。ほら、かわいい後輩を解放してやれ」
「えー、仕方ない。じゃあ国見ちゃんも金田一も、また部活でね!」
お疲れ様です、と心底ほっとしたように国見が会釈をして立ち去ろうとする。
「あ、悪りぃ。ちょい待ち」
「なんかあったんスか?」
この際だ、と立ち去ろうとしていた国見と金田一を引き止める。監督に呼び止められた時の俺同様、不思議そうな顔をした。
「月バリの取材来るって」
「マジ!?及川さんついに全国デビュー!?」
「実際は県予選落ちだけどな」
「卑屈モードやめて!!」
いつも通りうるさい及川と、謎に卑屈な花巻に笑ってしまう。岩泉は心底面倒臭そうな顔だ。
「なんか聞かれっかもだから、全員それなりに喋れるようにしとけよ」
「うぃー」
「何喋ってもいいの?」
「嘘はダメだろ」
わかってるよ、と及川は不貞腐れるが嬉しそうに笑う。
「及川、ミスターコン出れば?」
「え、もちろん出るよ?」
と、さも当然のように言い退けた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時