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《少し背の高い〜》
「何でカブトムシ」
「切ないかららしい」
「及川に切ない要素ねーだろ」
《俺は!!今!!ものっすごグッハ!!》
「うッッるせぇんだよクソ川!!!」
キーン、と響くハウリングに、一静と花巻、俺の三人揃って耳を抑える。及川は岩泉に頭突きをされ、ソファーに臥した。
「頭突きしないで!!暴力反対!!」
「最初からマイクなしで喋れやボゲェ!!ただでさえうるせぇんだよ!!」
及川にキレ散らかす岩泉を横目に、一静と花巻、俺はドリンクを飲みながら各々スマホをいじっている。
「花、機種変したのな」
「んお?あー、母ちゃんが便利だろーからって」
「花のお母さんめっちゃ優しいよな」
「羨ましいーー」
プルル、と及川の声よりでかい音を立てて、部屋に設置された電話が鳴る。花巻がそれを取った。
「はーい、ダイジョーブでーす。はーい」
電話を再び壁にかけた花巻は、ソファーに座ってデンモクを取る。BGMと化していた音楽が鳴り止んだ。
「ちょっとー、消さないでよー」
「俺も歌いてぇの」
「なに歌うの?」
「女々しくて」
「まさかの金爆」
原曲にはないドラムスティックを打ち合わせる音が響く。花巻が歌い始めた。
《よーし、帰んぞー》
気持ちよく歌い終えた花巻がマイク越しに言った。スクバを担ぎ、バックポケットにスマホを突っ込む。
「延長しなかったんだ」
「及川追い出してから別の店行くべ」
「ああ、それいーな」
「よくないから!!」
明日からの日常は、この3年間で最も辛いものとなるかもしれない。
「明日はとりあえずミーティングやって、それからポジション別の練習かな?」
「朝は基礎練多めにしてくれ。ボールの空気圧チェックする」
「オーケー」
今日がまだ終わっていないのに、早くも部活の話をしているあたり、やはりバレー馬鹿なのだと実感する。
「ありがとうございましたー」
緩い店員の声を背に、店を出る。少し歩いて、明日からの部活のことをそれぞれが考えていると、及川が空を仰いだ。
「烏野も、白鳥沢も、全部倒す」
いつもより静かな声でそう言って、俺達を見た。その目に宿る炎が誇らしい。
「当たり前ぇだろ。」
「全国行くんだから」
四人でその目に応えるように、及川の眼前に拳を突き出す。及川は不敵に笑い、同じようにした。
「よし、じゃあそろそろ帰りますか」
「カラオケ3時間はエグいわ」
「もう夜じゃんな」
「腹減ったー」
五人でごちゃごちゃと帰路を辿った。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時