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「こんにちは〜!」
及川がデカい身体を少し屈めながら、珍道中の戸を潜る。それに続いて花巻や一静も少し屈みながら入っていくが、俺と岩泉は高さを変えずそのまま足を踏み入れた。
「なーんか、こう、」
「ハラタツな」
「んお?なにが?」
やや古い建て付けの戸は少し低めとはいえ、十分な高さがある。それを180センチオーバーの三人が潜る様は、ある意味で俺と岩泉を煽っているようにも取れた。
「お前らも別にそのまま潜れるからな?」
「えー?おでこぶつけたくないし」
「ぶつけねぇから一回安心して潜ってみろって」
「俺は流石に怖いからやめとく」
「一静も髪の毛掠るくらいだぞ」
「何がなんでも潜らそうとすんじゃん」
花巻がケラケラと笑ってカウンターまで歩き、椅子に腰掛けた。俺と岩泉もさっさとカウンターにつき、メニューを手に取ってそれを眺める。一静が隣から覗き込んだ。
「なに食うの?」
「んー、坦々麺」
「いっつも同じよな」
「来る店が同じだからな」
注文が決まっている一静は俺の座る椅子の背もたれに腕を回し、退屈そうに俺の髪へ手櫛を通す。暫くそのままにしていると、及川や岩泉、花巻も注文が決まったらしく店主に呼び掛けた。
「塩ラーメンと、炒飯とー」
「醤油と餃子」
「豚骨のチャーシュー大盛りひとつと」
「坦々麺と餃子、と?」
「坦々麺と半炒飯、以上で」
お願いします、と俺の注文を聞いた及川が笑顔で言う。店主も「はいよ」と言っててぼへ麺を入れていった。
「そんなに食えるの?」
「一緒に食お」
「そういうこと」
少食らしい俺が半炒飯を注文したのを、一静は食べ切れるか心配したようで、答えると緩く笑った。餃子を焼く音が響き、脂の香りが漂う。
「Aちゃんって甘え上手だよね」
及川が俺を見ながら溜息混じりに呟いた。甘えたつもりはないし、なんのことか分からず首を傾げる。
「及川、Aは無自覚なんだって」
「ああ、そうだったね、マッキー」
花巻が及川に言い、二人揃って俺をジト目で見た。
「なんか、貶されてるよな、あれ」
「Aは気にしなくていーんだよ」
「そ?」
そ、と一静は指先で俺の髪をひと束掬い、クルクルと指に巻き付け弄んだ。花巻と及川が溜息を吐く。
「お前ら、溜息吐いてっと幸せ逃げるぞ」
「ハッ!及川さんは明日のミスターコンでグランプリに輝いたのち告白されまくるからいいもんね!!」
「先にギョウザ2枚ね」
タイミングよく、店主が皿を差し出した。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時