302 ページ5
しっかりとノート作りを済ませていた英語も、小テストが返された古典も、難なく乗り越えた昼下がり。昼飯もいつも通り五人で食って、くだらない話をして、だけど、やっぱり空気は重かった。
現在、
「学祭で何やるか決めるぞー」
「何がいいかな」
「お化け屋敷！」
「女装カフェ」
文化祭で何をやるか、それを決めるための時間なのだが、各々好き勝手言っている。一静は椅子に横向きで座り、その光景を笑って見ていた。
「女装カフェになったらどうする」
「俺が女装すんの？キツくね？」
「一静は部活でいいだけ生足晒してるじゃん」
「そういう問題じゃねぇだろ」
呆れたような顔で俺を見る一静に笑い掛ける。不服そうに、普通にしていてもツンとしている唇を尖らせ、ジッと俺を見た。
「一静は？やりたいのあんの？」
「焼きそば食いてぇ」
「出店かよ。つか俺らは作る側だぞ」
「それな」
言いながら一静は手を挙げる。クラス委員に指され、発言を促されると「焼きそば屋」と声を張った。男子は数名賛同した。
「えー、かわいいのがいい」
「女子のかわいいがわからん」
「例えば？」
隣席の女子が異議を唱えるが、具体案ではなかった。俺と一静はふたりで引き出そうと隣に目を遣る。彼女は一頻り悩んで捻り出した。
「クレープとか？」
「クレープ食いてぇな」
「でしょ？」
「お前なんでも食いたいんじゃん」
すると隣席の女子も先程の一静同様に挙手をし、指名されると「クレープ屋さん！」と明るく言った。今度は男女問わず賛同の声が上がる。
「それならもう軽食屋でよくね？デザートも飯もなんでもアリ」
「確かにな」
「カフェに焼きそばはないでしょ」
「いや、喫茶店ならあるかも」
と、話しているとどこからか大声で「メイド喫茶」という声が聞こえた。
「うちのクラスの女子かわいいもんな」
「確かに」
「私も？」
「花がかわいいって言ってたって言ったべ」
特にぶりっ子のような素振りをする訳でもなく、ついでに聞いてやろう、というように俺と一静に聞いてくる。直接的な言い方ではないそれに、彼女は少し不機嫌になった。
「堂島ってそういうのボカすよね」
「いや、変に褒めて勘違いさせたくないだろ」
「真面目か」
「てゆーか」
隣席の女子により、俺と一静のくだらない掛け合いが中断された。顔を向けると、半笑いで俺を見て彼女は言う。
「一番近くであんたら見てんのに、勘違いする訳ないでしょ」
確かに、とふたりで呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります！こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます！ (2022年11月7日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...！いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです！！楽しみにしてます！ (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます！！烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年10月6日 12時
