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「はい、お待たせしました」
「さんきゅ」
一静がコーヒーを机に置き、俺の目を見てにこりと笑う。分からず同じように笑って返すと、くしゃりと頭を撫でられた。
「なに?」
「やっぱこっちのがいいな」
「へーへー」
「満更でもなさそうな顔しちゃって〜」
「うざ」
着替えてくるわ、と先程の俺同様に一静はパーテーションの向こうへ消えた。のんびりとアイスコーヒーをストローで混ぜていると、花巻と及川がジト目で俺を見る。
「なに」
「何ヶ月?今」
「あー、3?かな」
「蜜月か」
「この後どうなるかねぇ」
何を言いたいのかが分かり、苦笑いする。そのままストローに口を付けてひと口含んで、少し言葉を選ぶ。
「まぁ、普通ならそうかもな」
「普通?」
「そ。多分最初の3ヶ月が最高に楽しくて、幸せで、なんの柵もなく過ごせるんだよ。普通なら」
言いながら今までのことを思い起こす。バレー部やクラスのやつらが受け入れてくれただけで、確かな拒絶もあった。それを知っているからか、三人とも少し神妙な面持ちになる。
「んな顔すんなよ。お前らが知っての通り、結構デカい修羅場はとっくに終わってっから。まぁ、新しい環境に身を置いたら、わかんねぇけど」
「それも1年後にはやってくるよ?」
「そうな」
「やっぱクラTは楽だな」
「おつかれ」
なんの話、と言いながら一静が元々座っていた椅子に腰掛けた。
「松とAがいつまでラブラブかってハナシ」
「なんだソレ」
花巻の言葉を聞いて、一静は少し眉間に皺を寄せ溜息を吐いた。
「Aは俺に飽きた?」
「全然?」
「よかった」
頬杖を突いて俺の顔を覗き込み、ふと表情を緩める。分からず首を傾げると、また頭を撫でられる。
「なんの確認?」
「聞いてみただけだよ」
「そ」
「イチャイチャしてさ〜、いいけど〜」
不満そうに及川は言って席を立つ。岩泉はそれを見たが、無視してそのまま座っていた。
「俺と岩ちゃんはもう行くね〜。岩ちゃん、行こ」
「チッ……じゃ、明日な」
「舌打ち?!」
「じゃあな」
岩泉も重い腰を上げ、及川とともに教室を出て行った。
「俺らも冷やかしに行くか?」
「だな。花は及川たちんとこ行った?」
「いんや、行ってねーわ」
「三人で行くべ」
「1・2年のとこは明日行くべ」
話しながら及川たちの皿も下げ、クラスメイトに断りを入れて廊下に出よう出入り口を潜るが、
「ッ痛!!」
「す!すみま、せ……アレ?」
矢巾とぶつかった。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時