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「お待たせしました、ミニオムライスと、ミニパンケーキです」
「え、背ぇ高!ほっそ!」
「やばいね!てゆーかメイク気合い入ってる!」
「ハハハ」
テーブルに料理を置いて「ごゆっくりどうぞ」と言い残して一度頭を下げ、そそくさと一静の横に戻った。
ホールに出てから何度目か分からないやりとりは、嫌というほど言われてきた言葉を浴びせられるだけだった。
「コラ、ちゃんと笑顔でやんなさいよ」
「ヤダ。細ぇだなんだ好き勝手言われんだもん」
「お子ちゃまめ」
一静が高身長なのもあり、俺を普通身長と勘違いした客は近付けばその身長に驚き、一静が比較的痩せ型でその隣にいるからか目立たないが、それすらも余計に驚かれる原因になっていた。
「あーヤダ。肉付かねぇかな」
「今日明日では無理だろ」
「願望としての話だよ」
「すみませーん」
はーい、とにこやかに返事をして客の方へ行く一静を見送る。客の入りは大半が女性で、それに連れられてきた男性は殆ど、一静を見て眉を顰める。
「オーダー、コレね」
「うい」
家庭科室まで注文を通しに行く男子にメモを渡し、一静はゆったりとした動作で俺の方へ来た。
「また睨まれたんだけど」
「そりゃそうだろ。一静が注文取った後は、大体彼女のテンション高くなってっから」
「不本意」
「コラコラ、お客さん相手にダメだろ」
何度も言われた言葉をそのまま返す。不機嫌そうに俺の顔を見て、小さく溜息を吐いた。
「なにかご不満でも?」
「俺はAにだけモテたいの」
「俺もそうだけど?」
今更どうした、と小さく笑えば一静は不機嫌さを極める。ジト目で俺を見て、手を伸ばしてきた。鼻を摘まれる。
「ちょ、メイク崩れる」
「女子か」
「いっせーくんサイテー」
「せめて裏声にしようか」
クラスの女子の口調を真似して言うと、一静は眉を顰めて俺の頬をつねった。
「ねぇ、痛い」
「ほっぺも薄いな」
「うっせ」
「ヤッホー!まっつん!A、ちゃ……ん」
教室のドアの方から大声で呼ばれ、俺は一静に頬を摘まれたままそちらを見ると、及川は岩泉の顔に手を翳し視界を遮った。
「おい、邪魔臭ぇ」
「え、ねぇ。このクラス、ああいうのはオッケーなの?」
「松川と堂島?いつものことだけど」
「すごい感覚麻痺起こしてるね」
岩泉によって手を軽く痛めた及川は近くにいた俺のクラスの女子を呼び止めるが、なんてことはないと一蹴されていた。
及川に気が付いた下級生の黄色い声が響く。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時