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机と椅子が規則正しく置かれた教室の中。一静と向かい合ってクレープを口にする。
「あっま」
「コレ、作ったの花じゃねぇだろ」
「お、よく分かったな」
同じタイミングで休憩となった花巻が、椅子を一脚持ってきて俺の横に置き、座った。
「すんげー気合い入ってるよな」
「朝から女子にやられたんだよ」
「カワイイよね」
「カワイーわ」
「微塵も嬉しくねぇわ」
俺の髪に手櫛を通そうと花巻が手を伸ばすが、それは一静によって叩き落とされる。
「痛ぇな。過保護か。過保護松!」
「新しいジャンル作るな」
「過保護っつーか嫉妬だろ」
「え、俺とAの仲に怪しさなんてねーだろ」
それな、と花巻と指を差し合って言う。タイミングがバッチリ合ったこともあり、二人でケラケラと笑うと、一静もふと笑った。
「お前らんとこってなんだっけ?」
「喫茶店。男装女子多め」
「マジ?あとで行くわ」
「丁度俺とAがホールやってるかもな」
行くしかねーな、と花巻はさらに笑った。
「あ、ミスコン誰に入れるよ?」
「嘘でも自クラスの子に入れてやれよ」
「俺はあのコ苦手だから入れないよ」
「意外と頑固よな」
クレープをもそもそと食べ進めるが、甘過ぎて少し眉間に皺が寄る。それを見た一静が席を立った。
「何すると思う?」
「コーヒーじゃね?」
花巻と二人で一静を待ちながら話していると、ジッと一静を見ていた花巻が「せいかーい」とご機嫌に呟き、ニヤニヤと俺を見た。
「相思相愛ですな」
「それ程でも〜」
「A、ほれ」
「ありがと」
プラスチックカップに入ったアイスコーヒーを俺に差し出し、一静が椅子に座る。花巻はそれを見てまたニヤニヤと一静を見た。
「溺愛ですな」
「まぁね」
「幸せかよチクショー」
「お陰様で」
「ハモんな」
仲良く同じ言葉を返した俺と一静にクレームをつけながら、花巻は自分で作ったと思われるクレープを口にする。好みの塩梅なのか美味そうに食っていた。
「花はスウィーツIQ高いよな」
「なにそれ?」
「テキトーに言ってみた」
「まぁ甘いモンは好きだな」
アイスコーヒーを啜って口の中の甘だるさを中和する。残したくても残せない、普通より数段甘いチョコクレープを、持ったまま時計を見る。
「ん、そろそろ戻る?」
「そうだな」
「俺次のシフトだわ」
じゃーな、と花巻が椅子を戻し、ホットプレートとトッピングが並んだ机の方へ行ってしまう。
最後の一口を思い切って口に入れた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時