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グッと俺の体重ごとソファーの背部が引かれる。ロックが外れ、ゆっくりとリクライニングしていく背もたれに任せながら、俺は身体を倒し、一静は俺の上に跨った。
「なにしようかな」
「優しめでお願いします」
「えっ」
「思ってんのとは違ぇからな?」
一静は途端に期待したような顔をして、だが俺の言葉ですぐに表情を暗くした。
「そんなにシてぇの?」
「好きなヤツとはシてぇだろ」
「そういうもんなのか」
「そういうもん」
俺の身体に体重をかけないよう、肘で身体を支えて俺の首筋に顔を埋める。そのまま何度か匂いを嗅いだかと思うと、首筋を舐めた。
「ビビった」
「いい反応するね」
無意識に身体が跳ねたのを見て、一静は口角を上げる。
「つか、お前童貞だろ」
「いや、Aもだろ」
「当たり前じゃん」
一静としか付き合ったことねぇし、と呟けば、さっきまで余裕振って、今やっていることよりさらに先へ進みたがっていたヤツの耳が赤くなる。
「何で赤くなってんの?」
「なってねぇし」
「いや、無理あるんですけど」
視界にある耳へ手を伸ばし、つ、と指でなぞる。小さく震えた身体に先程の一静同様、口角が上がった。
「いい反応すんね」
「負けず嫌いめ」
ふと顔を上げ、喋るな、というように俺にキスをする。唇を舌先でなぞり、その先を急かした。従って口を開けば、舌が差し込まれる。角度を変えるだけの間に、短く酸素を取り込む。何度も繰り返し、離れた。
「満足した?」
「まだ」
甘ったるい目で俺を見詰める一静に苦笑いをする。一度味を占めると、何事も欲深くなってしまう。
「これ以上はダーメ」
「解禁になったら覚悟しろよ」
「それはお互い様な」
「へばってもやめねぇよ」
ニヤリと笑う一静を見て、それも良いかもしれない、と思ってしまいそれが悔しかった。
「そろそろ寝るか?」
「だな」
時計を確認した一静が俺の上から身体を退かせる。一静に倣って時計を見ると、22時になろうとしていた。
「Aの体内時計は健康的だよな」
「マネが朝練遅刻は迷惑もいいとこだろ」
「流石です」
ふたりともソファーから立ち上がり、キッチンへ行く。一静が冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、キャップを開けた。
「飲む?」
「ひと口」
ボトルを口から離し、俺を見る。受け取ろうと手を伸ばすと、差し出されたが、同時にキスされた。
「いーだけしたろ」
「いくらしても足りねぇよ」
まぁ、確かに、と顔を背けた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時