317 ページ20
弁当箱に米と筑前煮、厚焼きたまごと焼き鮭を入れる。ひと通り終わった頃、一静が洗濯物が入ったカゴを持ってリビングへ戻ってきた。
「弁当詰めたの？」
「うん。明日楽だしいいかなって」
「そ」
洗濯物を干しながら、俺の作業が終わったのを確認した。一静はまだ終わらないようで、カゴの中を見て少し眉根を寄せる。
「手伝う？」
「もう終わるからいーよ」
「じゃあ、課題やるかな」
「そうしな」
一静の洗濯物を任せ、寝室へ向かう。スクバから課題の入ったファイルを取り出し部屋を出る。
リビングに戻ると、一静も干し終わったようでソファーに掛けていた。その横に腰を下ろし、テーブルに向かう。
「なにやんの？」
「数学」
「教えようか」
「その時言うわ」
ペンケースからシャーペンと消しゴムを出し、喫茶店で一静が解いている間に見当を付けていた問題を解く。黙って解いていると、腰に手が伸びてきた。
「なに？」
「イチャイチャタイムはいつですか？」
「これ終わったら」
「あと何分？」
左手で腰に回された一静の手を掴むと、指を絡められた。一問解き終わり、他の難易度や苦手な問いを考慮する。
「……25分以内に終わる」
ん、とねだるような目で俺を見て返事をして、ゴロン、と俺の太腿を枕に寝転んだ。
「このまま待ってるネ」
「消しカス落ちても知らねぇよ」
「落とさない努力をしようか」
教えると言ったのはなんだったのか、寝転がって俺の身体に抱き着いてみたり、俺を見上げてみたり。たまに手を伸ばして俺の頬を摘んでみたり。
「集中させろよ」
「いいトレーニングだと思うんだけど」
「甘えたいのを正当化すんな」
「満更でもないでしょ？」
開き直って俺で勝手に遊ぶのをやめず、一静はソファーから投げ出した足を組んで寛いだ。なんやかんや解き進めていると、特に躓くこともなく課題は終わりそうだ。
「もう少しで終わるよ」
「わーい」
「棒読みかよ」
最後に残していた面倒な読解問題に手を付ける。係り受けや求める値が何かを確認して、式を組み立てる。そのままイコールを何個も連ねて解いていき、行き着いた解に下線を引いた。
「終わった？」
シャーペンを転がしたのを聞いた一静が、腕の隙間から俺の顔を見る。
「終わったよ」
「じゃあ、俺の番ね」
のそりと身体を起こし、俺に向き直る。ひどく楽しそうな顔だ。
「なにすんの？」
「イチャイチャすんの」
一静の手が俺の顔の横を過ぎ、ソファーの背部を掴んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります！こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます！ (2022年11月7日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...！いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです！！楽しみにしてます！ (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます！！烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年10月6日 12時
