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どっさりと買い込んだアイスと、明日以降に使う食材が入った袋を玄関に置く。
「洗濯とー、洗い物か。一静、弁当箱に洗剤垂らして水張っといて」
「あいよ。やったら洗濯回すな」
「さんきゅ」
一静に洗い物の準備と、半分担当になっている洗濯を任せ、アイスを冷凍庫にしまう。夕飯は済んでいるから、明日の弁当の用意だ。弁当箱に水を張った一静は俺のエナメルバッグから洗濯物を出し、脱衣所へ向かった。
「あ、着替えろよ。あとで回すから」
「オッケー」
献立を考えながら洗い物を進める。少ない洗い物が終わったタイミングで、一静がふたり分の着替えを持ってリビングへ戻ってきた。
「先着替えるべ」
「うん」
一度手を拭いて一静から着替えを受け取る。制服のジャケットやスラックスをハンガーに掛け、定位置に戻す。ワイシャツとインナーを脱いで床に置くと、腹に腕が回された。
「なんだよ」
「いーじゃん。ふれあおうぜ」
「言い方よ」
そのままグッと持ち上げられ、背後から抱き締められる。一静もまだ上を着ていないらしく、ひたりと少し高い温度が触れた。
「いくら初夏とはいえ早く着ねぇと腹下すぞ」
「スイカ食いまくるよりマシだろ」
「まず俺はスイカを食いまくれねぇよ」
「知ってる」
俺の脇腹を掴んで、身体を反転させる。向き合うとキスしてきた。
「なんだよ」
「付き合ってんだしいーじゃん。不機嫌なの?」
「だってやらなきゃねぇことあるし」
「真面目だなぁ」
少し拗ねたような顔をして俺を見る。こんなに引っ付かなくても、と思うが、嫌な訳ではないし、この顔を見ると甘やかしたくなる。
「あとでちゃんと時間作るから、先にやることやるべ」
「ん、わかった」
一度抱き締めて、身体を離す。Tシャツに袖を通して、一静に脱いだ服を渡す。
「ニオイ嗅いでもいーよ」
「俺はニオイフェチじゃありませーん」
「フェチじゃなくても好きなやつの匂いは好きだろ」
少しムキになって言う。一静は考えてから小さく「確かに」と呟き、すっと俺の耳の後ろに顔を寄せた。
「確かに、Aの匂いは好きだな」
「だろ?そういうこと」
「そういうコトにしとくな」
顔を離した一静は楽しそうに口角を上げて、洗濯物をまとめて持ってリビングを出て行った。俺も俺でキッチンに戻り、適当に食材を出す。人参、椎茸、鶏肉、こんにゃく、うん。
決まったところで、人参の皮を剥く。リビングに戻った一静が隣に並んだ。
「何にすんの?」
「筑前煮」
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時