315 ページ18
「ふぅ、食った」
「俺も腹苦しい」
「胃袋が女子」
「マジでただの悪口だからなそれ」
食事を済ませた一静は、腹をさすりながら課題をエナメルバッグに仕舞う。時間はもう20時を過ぎ、閉店時間ではないものの他に客はいなかった。
「行くか」
「ん」
エナメルバッグとスクバを持って席を立つ。先に支度を済ませた一静が財布を出しながら店の奥へと向かった。
「Aー、200円ある？」
「ある、ちょい待ち」
荷物を担いで、エナメルバッグの中から財布を出す。小銭を漁って100円玉を2枚、カルトンに載せる。
「ちょうどだね。気を付けて帰るんだよ」
「ご馳走さまでした」
「また来ます」
「ありがとうね」
ドアチャイムと、手を振って見送ってくれる店主を背に店を出る。
少し前なら冷え込んでいた空気も、今はほんのり暖かい。普段から暖かい一静の手なんて熱いくらいだ。
「夏だな」
「まだ来なくていいな」
「夏は有無を言わさず来るぞ」
それな、と言いながら空を見上げる。少し伸びた髪が目に掛かって邪魔臭い。
「次の休み髪切りに行くわ」
「俺も行こうかな」
「一緒に行くか」
「帰り飯食ってから帰んべ」
短い返事をして、スクバを担ぎ直す。ふと目に入った一静の髪に手を伸ばし、わしゃわしゃと掻き回した。
「やめろって」
「いーべや」
ポケットの中のスマホが鳴る。
「ん、ちょいごめん」
「どした？」
一静の頭から手を離してポケットに突っ込む。スマホを取り出すと、バレー部全員宛のメールが来ていた。
「及川から」
「なんだって、遠征のこと？」
「いや、金田一、今日誕生日だったらしいよ」
ほら、と添付ファイルの写真を見せる。岩泉と及川に挟まれた金田一と、国見がこっそり写り込みピースをしていた。
「へー、言ってくれりゃいいのにな」
「明日テキトーに駄菓子やるべ」
「雑か」
一静もスマホを出し、メールを作っているのかせっせと指を動かしている。
「金田一、焼きとうもろこし好きらしいよ」
「あれか、とうきびアイス買ってやんべ」
「あれ今時期売ってんの？」
「知らね」
足は自然といつものスーパーへと向かい、金田一に、と数個のアイスを選んだ。
「Aは？アイスいらねぇの？」
「いる。一静はどれ食うの」
アイスコーナーを覗き込み、それぞれ好きなアイスを手に取る。
「金田一どんな顔すっかな」
「微妙な顔」
「想像付く」
「お待ちの方どうぞー」
レジを待つ間、金田一の反応を想像して笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります！こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます！ (2022年11月7日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...！いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです！！楽しみにしてます！ (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます！！烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年10月6日 12時
