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役割も滞りなく振り分けられ、大体のやつが決まった。それを確認した担任が立ち上がる。
「次ミスコンとミスターコン誰出すか決めるぞー。自薦他薦押し付けなんでもありだ」
「テキトー過ぎ」
「押し付けとか」
クラスのやつらが騒ぐと、担任は面倒臭そうに顔を歪める。自分の発言を思い返すべきだが、なにかいやなことでもあったのかそれをサボっているらしい。
「で?誰にすんだ?」
「一静出れば」
「いや、Aが出れよ」
「絶対ヤキモチ焼くじゃん」
拗ねた顔で俺をチラリと見て、少し俯く。ミスコンはクラスの目立つのが好きな女子が出るらしい。
「あ、俺パス」
「なに?あの子苦手なの?」
「あのコいい噂聞かないよ」
「マジ?」
隣席の女子まで反応し、少し苦笑いする。ミスターコンに出たがる男子はなかなかおらず、一向に決まらない。
「堂島出れば?」
「やだよ」
「ハイスペ雰囲気イケメンって人気なのに」
「普通だろ」
つか雰囲気かよ、と呟くと一静が小さく笑った。
「なに」
「いや、前に花が言ってたなと思って」
「ああ、Bまでいけない鉄壁?」
「それは俺な」
サッカー部の男子がじゃんけんに負けたようで、無理矢理ミスターコンに出ることが決まった。飛び火を喰らうこともなく、今度はクラスTシャツの色やデザインを決めるらしい。
「白とミントグリーン以外ならなんでもいい」
「ジャージのカラーじゃねぇか」
「毎日着てるんだから他の色がいいべ」
まぁな、と相槌を打ちながら一静は手を挙げる。クラス委員が指名すると「臙脂」と声を張った。女子が一斉に「えー」と声を上げる。
「地味!」
「ピンクとかは?」
「松川がピンクはキツイだろ」
「なんでいっつも俺基準なんだよ」
眉間に皺を刻んだ一静が、口を尖らせながら言う。俺がギリギリ聞き取れる程度のそれは、他のやつの耳に入らず掻き消された。
「ターコイズブルーとかは?」
比較的男女関係なく身に付けやすそうな色、という勝手なイメージがあるから、まずは隣席の女子に提案する。
「ちょっとくすんでない?」
「嫌い?」
「嫌いではないかな」
それを聞いて俺は手を挙げ「ターコイズブルー」と言うと、女子は何人か頷いた。
「ターコイズブルーより、このOXブルーかわいくない?」
「ワイシャツの色みてぇ」
「あ、マジだ」
「ユニフォームで良くね?」
クラスTシャツの見本や色見本が載った雑誌を見て、女子は賑わう。決まったのか、注文用紙に記入していた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時