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何言ってんの、と顔に書いて俺を見る及川を、岩泉と花巻は同じような顔で見ている。一静に至ってはこの状況がツボにハマったらしく、ひとり肩を震わせていた。
「え?何?普通じゃない?」
「コイツはこういうヤツだ。スマン」
「あー、俺らが間違ってたわ。そうだ。こういうヤツだ」
「A、教室戻るべ」
解散解散、と花巻がヒラヒラと手を払って、及川の近くから俺たちを退ける。時計を見ると、もう少しで予鈴が鳴る時間だ。
「じゃああとでな」
「俺のこと放置しないで!!」
「あとでなー」
「及川うるせぇ」
そのままバタバタと教室へ戻り、席に着く。
「クラT何色にする?」
「まず形どうする?」
相変わらずクラスでは学祭に関する話がされていて、高校最後の夏が来る、となんとなく思う。
「ユニフォームのやつは1枚あるといいって先輩言ってたよな」
「あぁ、アレ名前のとこネタにできるしな」
「一静なら何にする?」
「んー、そうだな」
本鈴が鳴るギリギリまで、くだらない話を詰め込みたい。
「高3だしキワドイのやりてぇな」
「一静がキワドイやつはマジで洒落にならん」
「松川はほぼ成人だからある意味オーケーじゃない?」
「お前ら酷ぇな」
隣席の女子にもいじられ、一静は少し拗ねた。それを笑うとさらに不機嫌になるが、ぐしゃぐしゃと頭を撫でれば不服そうにしながらも機嫌は少し直る。
「イチャついてるねぇ」
「うちの一静かわいいでしょ」
「ちょっと私にはわかんないかな」
「それがフツーだよ」
だよねー、と明るく笑う彼女にふと疑問を抱く。
「そういえばさ、彼氏いんの?」
「いないねぇ。友達は多いよ」
「男女問わず仲良いよな」
隣席の女子は少し首を傾げて考えているらしい。本人は何も意識していないのだろうが、クラスには彼女を意識しているやつはいそうだ。
「まぁ、別に誰が嫌いとかもないしね。あからさまに感じ悪くなければ平気かな」
「博愛主義的な」
「そんな綺麗なもんじゃないよ」
本鈴が鳴ったが、教科担任が来る気配はない。どのクラスも同じようで、少しずつ廊下に声が響くようになっている。
「なんかあったのかな?」
「さぁ?」
「今更だけど聞いていい?」
隣席の女子が俺と一静に断りを入れた。一静と口を揃えて「いーよ」と言えば、身を乗り出す。
「堂島と松川って、嫉妬とかしないの?」
「するよ。特に一静」
「Aはあんましねぇな」
言ってから気が付いたらしく、一静は頭を抱えた。
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シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時