299 ページ2
弁当の準備も、朝飯も食い終わって少しのんびりする。
朝練がないだけで、いつもの時間に起きてもこんなに余裕があるのか、とコーヒーを口に含む。苦味に顔を顰めるが、それが好きで飲んでいるから一静は俺を見て変な顔をする。
「苦いなら牛乳入れりゃいいのに」
「これがいーの」
「オトナぶっちゃって」
少し拗ねたような顔で俺を見て、カフェラテに口を付けた。
「一静の方がコーヒー似合うのに」
「似合う似合わないで選んでないから」
「飲んでみたらいいじゃん」
マグカップを差し出して、一静の手の中にあるのと交換する。一静のカフェラテも砂糖は入っていないから、ただ少しまろやかなだけ。
「んー、まぁ苦いけどいけるね」
「だろ?今度からブラックにしよ」
「いや、カフェラテでいいかな」
「なんで」
マグカップをまた交換しながら隣に目を遣る。一静は少し微笑んで手元に目を落とす。
「こうやって、交換すればいいからね」
「ヤラシーやつ」
ジト目で一静を見ると微笑むが、すぐに揶揄うような顔になり口を開く。
「なに、"はなぴっぴ"の真似?」
「違ぇよ。つかツッコミ損ねてたんだけど、"はなぴっぴ"ってなに」
コーヒーを啜って一静を見る。何も考えずに口走っていたからか、パッと答えは出てこない。
「え、テキトーに、ノリ?」
「お得意のやつね」
「別に得意じゃないけど」
拗ねた顔でカフェラテを口の中で転がしている。それがまたおかしくて笑ってしまった。
「何がおかしいんだよ」
「ごめん。かわいいからさ」
つい、と笑ったまま言うと、一静が束の間固まった。
「どした?」
「いや、」
なんでもない、と口では言うが、少し顔を赤くさせている。特に変なことを言った覚えはないし、よくあるやり取りのはずだ。
「いや、明らか変じゃん」
「なんか、なに、え、ムリ」
「なにが」
「待って」
言われるまま待つが、それでも言わない一静に痺れを切らし、空になったマグカップをシンクに置こうと立ち上がる。特に手を掴まれることもなく、そのままキッチンへ行く。
「なに、今度はどうした」
マグカップをシンクに置いて、ソファーへ戻ろうとすると、一静が空になったマグカップを持ってキッチンの前に立っていた。
手を伸ばすと、言わずともマグカップが差し出される。受け取ってシンクに置いた。
「なんか、普段そんなに気にしてねぇんだけど」
「うん」
「Aはよく平気な顔で我慢できるな」
なんのことか分かり苦笑いする。
140人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 原作にない流れを書くこともあり、まだ展開が半端ですが、またペースを戻せるように頑張ります!こんな長い小説をここまで読んでくださりありがとうございます! (2022年11月7日 8時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - シャバ僧さん» そうだったんですね...!いつもお疲れ様です泣覚えて頂けて嬉しいです!!楽しみにしてます! (2022年11月7日 0時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» こちらこそありがとうございます!!烏滸がましいですが、スランプ気味で筆が乗らなかったため、更新が遅くなってしまいました……またコメントいただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2022年11月4日 21時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 5人のわちゃわちゃかわいいですありがとうございます...!!! (2022年11月4日 21時) (レス) @page26 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年10月6日 12時