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音を立てて鍵が開く。
「あー、笑った」
「あいつらホント飽きねぇわ」
スーパーに寄って買ってきた食材の入った袋をガサガサと鳴らして静かに入り、玄関の電気を点ける。
「ただいま」
「おかえり、ただいま」
「おかえり」
靴を脱ぐ前のお決まり。引っ越してから、ただいまを言いたいと言う一静が始めた挨拶。朝家を出るのも、夜帰るのも。いつも同じ俺たちはこうして互いに互いの帰りを喜んだ。
「パパッと作っちまうから」
「俺洗濯機回すな」
手分けして家事をするのにも慣れた。基本的に料理は合宿で慣れている俺が作っているが、そのうち覚えたいらしく、一静はたまに台所へ来る。
野菜を洗って皮を剥くものは剥いて、切っていく。肉も切り、適当な大きさにしたそれらに軽く小麦粉と胡椒を振って熱した油の中へ静かに入れた。
「油、気を付けろよ」
「ん、大丈夫」
洗濯機を回した一静がリビングからこちらを覗き込む。
「酢豚？」
「そ、素揚げしないからヘルシー」
「いいね」
底の深い鍋を振りながら全体に火を通し、先に合わせていた調味料を回し入れる。全体に絡むよう、また鍋を振った。
「米よそって」
「はいよ」
大体できたところで火を消す。沸かしていたお湯に鶏がらスープの素と刻みネギを入れる。卵を溶いてゆっくり流し入れた。余熱で卵がゆっくり固まっていく。
「スープも」
「ん」
鍋から大皿に酢豚を載せてテーブルへ運ぶ。先に米の茶碗を運び終えた一静にスープも取り分けるよう頼むと、そそくさと台所へ行った。
「うまそ」
「よそわないと食えないぞ」
「はーい」
少し大きめのスープマグを片手に鍋を見ていた一静が、おたまを鍋に入れ底から掬う。溢さないよう慎重に注いでいた。
「はい、交代」
「ん」
俺も自分のスープマグを持って一静の後ろに立つ。ゆっくり振り返った一静が、目を瞑って少し屈んだ。
「ふふ」
静かにキスすると、一静は満足そうに笑ってテーブルの方へゆっくり歩いていく。それを横目に見て、俺はスープをよそった。少し溢れた分をキッチンペーパーで拭く。
「箸！」
「俺は箸じゃありませーん」
言いながらも二人分の箸を持ってテーブルに行く。スープマグを置いて、腰掛ける。
「箸」
「ん、ありがと」
箸を持ったまま二人とも手を合わせる。
「いただきます」
一静が真っ先に酢豚に箸を伸ばす。俺はスープに口をつけ、それを見守った。
「ん、うまい」
「よかった」
一静は米をかき込んで咀嚼した。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
