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立ったまま掛けられる一静の体重を支えながら、ゆっくりとベッドの縁に腰掛ける。
一静の言っている日は、俺の中でも最悪の思い出だ。
「いいよ、あの時とじゃ訳が違う。俺の勝手で一静をひとりにしたんだから、謝んな」
「んー、まぁ違うっちゃ違うけど、こんな気持ちだったんだなって思ったからさ」
「それを分かってくれたらいいよ」
一静は俺の身体から腕を離して、ベッドに突いて自分の身体を支えた。
近い距離も、香りも、温度も慣れたはずだった。それでも、愛しい人がそこにいるという事実だけで顔は熱くなるし、その香りが鼻を掠めるだけで脳が揺れる。
(邪念、どっか行け)
「A」
「なに？」
精一杯平静を装って首を傾げる。目の前の、こいつの目にはどう映っているだろう。
「俺、今日ソファーで寝ていい？」
「さっきの話と矛盾してんじゃん」
「いや、なんつーの」
そうなんだけど、と口籠もりながら一静は視線を逸らす。何があった、いや、心当たりはある。でも、
「一緒がいい」
「え」
「ソファーで寝んの却下」
俺は今日、こいつと片時も離れたくない。
その気持ちが今までにない程強くなって、我儘を言ってみる。
一静は少し困った顔をして、視線を右へ左へ動かしながら考えた。これだ、と思うものを見付けたのか、俺の頬に手を添えて意を決したように頷いた。
「たくさんキスしていい？」
「しないつもりだったの？」
「たくさん触るよ」
「いいよ」
ベッドにふたりで潜り込む。一静に擦り寄り、抱き着く。
今までにないくらい触れている気がする。あんなに落ち込んでいたこいつに、こんなに甘えていいものか。
「くすぐってぇ」
「たくさんキスするって言っただろ」
俺の頭を抱き込んで、首や耳、瞼にまで啄むようにキスを落とす。もどかしい。
「ん、疲れてるだろ」
「まぁね」
「寝るんだろ」
「そうだな」
返事をしつつも、全く変わらないテンポでキスは繰り返される。段々とそれが心地良くなって、表情が緩む。それをチラリと見た一静が、俺の唇にキスをする。
「よし、寝るか」
「ん、おやすみ」
満足した一静は数回俺の頭を撫でて、瞼を閉じた。少しだけそれを見詰めて、寝息が聞こえたのを確認して俺も目を閉じる。一静の腕の重さと、規則的な寝息を子守唄にして眠りについた。
アラームが鳴った。
身体を捻るが、しっかりと抱き着かれているからか動けない。一静の腕の中、鳴り響く電子音で時間を予測する。
「A、おはよ」
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
