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「おい、手ぇ止まってるぞ」
「だって正の字書くだけで済むんですもん」
ボーッとしながら、コートから響く鈍い音を聞く度に線を引く。溝口さんは注意しつつも、その顔には「そうだけど」と書いていた。
上から変声期を迎えたのか怪しい男子の悲鳴が聞こえる。観客席で見ている烏野だろうか。無視してノートを指で叩きながらサーブトスを上げる及川を見つめる。
「及川のサーブで終わりますかね」
「どうだろうな」
「あ」
話している途中、ギリギリでレシーブされたボールはそのまま青城コートに返る。渡の「チャンスボール」と言う声が響いた。
「ま、決めますよね」
「あれ決めれなかったらドヤすわ」
綺麗にセッターへ返ったボールを及川がセットする。囮で入った金田一にブロックがついた。ボールはレフトに上がり、岩泉が決めた。
「ナイスキー」
「Aちゃん退屈してない？！」
「それはすまん」
「大王様かっけぇ！！早く試合したい！！」
俺と及川の会話を遮るように、観客席から先程のと似た男子にしては高い声が耳に飛び込む。ふと上を見ると、烏野の10番くんとリベロが身を乗り出すように試合を見ていた。
次に当たるのは烏野。この試合を落とすことはまずない。
「あっ！おい見ろショウヨウ！テレビだぞ！！」
「えっ！！テレビ！？」
試合を撮影しているカメラに気が付いたふたりが騒ぐ。テレビ局のスタッフが注意した。
「コラ〜、そこの中……小学生かな？少し静かにね」
「ハハ、かわいそ」
「お前、微塵も思ってないだろ」
「そりゃあ、まぁ」
コートの中では金田一のクイックが決まった。ホイッスルが鳴り、スタメンもベンチメンバーもエンドラインに並んだ。俺も立ち上がり、頭を下げる。
「おつかれさーん」
「うぇーい」
「うぇーい！」
花巻がハイタッチをしよう手を挙げてこちらへ来る。及川もその真似をした。ふたりが翳している手を叩く。
「汗の処理ちゃんとしろよー」
「ハイ！」
金田一がやけに気合いの入った返事をした。思わず笑うと、他の3年も笑い出す。
「金田一はいつも一生懸命だな」
「根がいいコなんだな」
「あ、いえ、はい」
「どっち」
和やかな雰囲気に、明日も大丈夫、なんて根拠のない自信が湧く。コートに立つのは俺じゃない、こいつらだ。
「早く移動しろよ！1年、荷物運んでくれ」
溝口さんが指示を出す。それを聞いて俺らは会場を出た。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
