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及川はその顔のままふと吐息を漏らした。
「これでまたイケメンになっちゃうかな」
「アホなこと言ってっと岩泉にど突かれるぞ」
「えー？でもホントのことだしぃ」
「A、寝るべ」
及川を放置して俺と一静は寝ようと、わざとらしく擦り寄る。花巻は隣に座っている国見と甘いものの話を始めた。
「え？無視？ひどくない？」
「お前の頭の方が酷ぇよ」
「髪はちゃんとセットしてきたよ？」
「……そうかよ」
岩泉はツッコミを諦めた。それを聞いていた俺と一静は肩を震わせて笑い合う。安心したのか、昨日ちゃんと眠ったはずなのに睡魔に襲われた。
「ちょっと寝たら？」
「そうする」
小声で話し、一静の肩にもたれた。
エンジンが止まる音がした。どのくらいそうしていたのか、周りに座っていた部員は立ち上がって身体を伸ばしている。
「着いたよ」
「ん、ありがと」
欠伸を噛み殺し、座ったまま身体を捻って筋を伸ばす。
「堂島、降りる前に忘れ物ないか確認頼むな」
「了解です」
「先降りてるな」
ん、と一静に短い返事をして全員が降りたのを確認する。
立ち上がり、一番後ろの席から順に忘れ物がないか見ていく。シートとシートの間や席の下も隈なく見たが、何もない。
バスを降りて、溝口さんにひと言伝える。一静は俺の分のエナメルバッグも持って行ったらしい。
「ごめん、待たせた」
「いいよいいよ、いつもありがとね」
四人が固まっているところへ行き、監督や溝口さんの指示を待つ。
「で？いつにする？」
「なにが？」
さも当然のように及川が俺と一静を見て言う。何のことかはわかっているが、敢えて聞き返した。
「なにがって、お泊まり会に決まってんじゃん」
「ヤダよ。それなら卒業旅行かなんかの時でいいだろ」
「そう言ってなかったことにする気でしょー？俺知ってんだからね！」
「及川はそんなに玄関で寝たいのか」
一静はうっすらと笑みを浮かべて及川を見遣る。
「なーんで俺が玄関って決まってんのさ」
「くっついて寝たくねぇんだろ？」
「くっつきゃソファーで寝れんのにな」
俺と一静の言葉に及川はグッと押し黙る。すると花巻が岩泉と肩を組んだ。
「俺岩泉とくっついて寝っかな」
「決まりだな」
「岩ちゃん俺とじゃイヤなの？！」
「先に嫌がったのはオメェだろ」
及川はあからさまにゲーン、と効果音が付きそうな顔で言うが、岩泉によってそれは一蹴される。
「全員いるな」
聞こえた監督の言葉で皆表情を変えた。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
