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顔を洗って歯を磨いた後、髪をセットして脱衣所を出た。
擦っていないから腫れてもいないし、赤みもない。白目は目薬で誤魔化した。
「ん、ご馳走様。うまかったよ」
「お粗末さま。今日はおにぎり何個？」
「おにぎりは1個と、プロテインバーがいいな。昨日丁度良かった」
「ん」
自分の分のおにぎりを握りながら返事をして、一静の分を茶碗に敷いたラップの上に取る。
「しゃけでいい？」
「いーよ」
焼き鮭の身を解して、米の真ん中にのせる。ラップで米を真ん中に寄せながら包み、形を整えるように握り直した。保冷剤とプロテインバーをおにぎりと一緒に巾着へ入れて口を閉じる。
「A」
「ん？どした」
すぐ隣に来た一静が俺の肩を抱く。優しい触れ方に安心しながら顔を見る。
「声が暗いから、なんかあったのかなって」
「なんもねぇよ。心配し過ぎ」
セットしたばかりの俺の髪を少し指先で弄び、ふーん、と静かに俺を見る。
「俺に隠し事？」
「敵いませんなぁ」
くしゃっと俺の頭を撫でて、一静は微笑んだ。ずっと俺を見ているだけあるな、と思い知らされる。
「実はイヤな夢でも見た、とか？」
「違ぇよ」
「知ってる」
俺と一静の二人分の弁当袋を持って、一静はリビングに行こうと俺の背を押す。
「ソファー座ろ」
「もう行かね？」
時間は6時23分。高校に7時集合だから、まだ時間は十分にある。一静もそれをわかっているから苦笑いした。
「話そ」
「はいはい」
少し甘えたなところを出してきた。それに対して俺が断れないのをわかっている。ソファーに掛けると、手を握られた。
「で、どうした？」
「大したことじゃねぇよ」
「うん。いいよ」
小さく息を吐いて、言葉を整理する。
「負けるなんて微塵も思ってない。
「うん」
「それがお前らを否定してるようで、マネとして最低だなって」
自嘲気味に笑う。一静は少し考えながら俺の頭を撫でた。
「最低かはわかんねぇけど、俺らが勝つのは信じてんでしょ？」
「当たり前だろ」
「なら、それでいいよ。充分」
微笑んで、ふわりと俺を抱き締める。あやすように身体を少し揺らしながら、背中をさすられる。
「Aに色んなもん見せてやるから。楽しみにしとけよ」
「ありがと」
「よし、行くか」
一静が身体を離し、立ち上がる。
エナメルバッグを担いで家を出た。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
