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風呂を済ませて、いつものように一静が俺の髪を乾かす。慣れたのか、最近では俺がいいと言うより先にドライヤーを止めることが多くなった。
ドライヤーが止まる。
「寝るか」
「だな」
真っ直ぐ寝室へ向かい、布団に潜る。一静がリモコンで電気を消した。
「明日も勝つぞ」
「がんばります」
おやすみ、と小さく言い合って眠りに落ちた。
アラームが鳴る。
いつも通りの時間に目を開けて、スマホで設定しているアラームを消す。一静も目を擦って欠伸をした。
「んー、A、はよ」
「おはよ、一静」
寝返りがてら俺の身体に腕を回し、耳の後ろをすっと嗅いだ。
「くすぐってぇ」
「こっち向いて」
寝起き特有の、普段より少し掠れた声が鼓膜を震わせる。言われるがまま身体を一静の方へ向けると、嬉しそうに微笑んだ。顔が近付いてくる。
額、瞼、鼻先、頬、と小さなリップ音を立てながら段々と降りてくるむず痒さに顔を顰める。ふと少しだけ、俺から顔を離した一静はニヤリと笑った。
「どした？」
「なんでもない」
「そ」
言い終わるか、終わらないか。なんとも言えないタイミングでキスしてきた。
まだ歯磨いてない、とかはもう気にしないが、今かよ、となぜか思う。少し悔しい。
「ん、なんでそんな不機嫌なの？」
「なんでもねぇし」
「絶対ウソでしょ」
「早く準備するぞ」
はいはい、と少し俺を宥めるように一静は言って身体を起こす。見上げると、してやったり、という顔をしていた。
俺も身体を起こして、一静の隣に座る。
「じゃーー」
立ち上がろうとした一静の肩を後ろへ押す。負荷をかけないように気を付けながら、ベッドへその身体を沈めさせる。
「油断してた？」
そのまま顔を近付けてキスをする。薄目で見た一静はほんのり赤い。
「俺ばっかやられっぱなしでいてやるかっつーの」
「ほんと、Aは変なとこ負けずギライだよな」
「それは多分お互い様だぞ」
確かに、と呟いた一静の上から身体を退ける。手を差し出すと、素直に掴み立ち上がった。
「朝は軽くでいいよな」
「ベーコンエッグとおにぎり」
「昼は？」
寝室を出て、一静は顔を洗おうと脱衣所へ行った。
ひとつ溜息を吐く。気を取り直して朝食の用意をしようと卵を割った。
「あ、早いね」
「このくらいならお安い御用」
俺が用意した食事を前に一静は顔を綻ばせた。
「先食ってて」
「ん」
リビングを出て、脱衣所のドアを閉める。
濡れた顔を誤魔化そうと顔を洗った。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
