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俺だって伊達に、ウン十年男やってない。
俺があなたへ抱く気持ちをあなたが気付いたのと同じように
俺だって、なんとなくわかる。
俺に好意を持ってくれている人の顔は。
ただの自惚れかもしれない、って思ったけど
今の顔を見て確信した。
俺への特別な感情が芽生え始めたから、
抱いてくれないんでしょ？
何かを畏れて
自分が好きな人は抱きたくないんじゃないの？
…なら。
「！んっ…！」
「…っ。」
「ちょ、…やめっ！」
俺の腕を振り払って、
大野さんは俺から身体を離した。
「お前…なにし…！」
「…キスですけど。」
「なっ！？」
「でも、今日はこれだけでいいです。」
軽いパニックになったような大野さん。
今日は色んな顔の大野さんが見られたな…。
「気が変わりました。
今日は大野さんの身体はいりません。」
もし、今日身体の関係を持ってしまったら
二宮や、他の大勢いる女性たちと同じになってしまうだけだろう。
そんなのは嫌だ。
だから…
「いつか、俺のことを「好き」って言わせてみせます。
そのとき、抱いてください。」
「なに言ってんの、お前…。」
いつか、認めさせてみせる。
俺への特別な感情を、あなたに認めさせてみせるから。
そして、俺しか求めない大野さんにしてみせるから。
俺からの気持ちを、素直に受け止める大野さんに、きっとしてみせるから。
「…じゃあ、帰ります。
おじゃましました。
メシ、うまかったです。ごちそうさまでした。」
あなたの身体に咲く、色んな人がつけたであろう
そのいくつもの紅い花を見ながら。
いつか、俺のしるしだけがついた
大野さんにしてみせるから。
「覚悟しといてくださいね。」
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作者名：紗倉櫻
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/sakurasakura_21
作成日時：2015年3月2日 8時
