Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ28)

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大野さんは目を見開いて驚いた顔をしていたけど、
すぐに目をキュッと細めて口元をにやりとさせた。

「おれに、抱いてほしいの？」

俺の目を見つめてそう言うから、
怯みそうになった。

けど、ここで引くわけにはいかない。

はい、と返事をしようとしたけどその直前に
大野さんが俺にグイ、と顔を近づけた。

鼻と鼻が触れ合うくらいの距離。

大野さんの唇だって、すぐ、そこ。

あぁ心臓、うるせえ。

大野さんに、聞こえてないといいけど…。

至近距離のまま、大野さんが口を開く。

「抱かせてくれんなら抱きてえけど、」

そう、掠れた声で言うと
俺から顔を離した。

「お前は、抱かない。」

「どう、して…」

大野さんは俺に背を向けて続けた。

「おれ、いっこだけルール作ってんの。」

「ルール…？」

「お前を抱くと、そのルールを破ることになるから、抱けない。」

「…どんなルールなんですか」

「おれのことを好きな人は抱かない、ってルール。」

「…っ！」

顔が紅くなっていくのが、自分でもわかった。

「お前、おれのこと好きだろ？
おれさ…

気持ちは、いらねぇんだ。」

どうしてあなたは、
そんな寂しそうな背中を見せるの？

「愛とかはいらないの。
くれても返せない。
だからおれに好意を持ってる人は抱かないって決めてるから。」

ねえ大野さん。
本当は違うでしょ？

好きでもない男に、あんなしるしつける女性って
そんなに大勢いないと思うよ。

きっとあなたが今まで抱いてきた女性たちは、
みんなあなたのことが好きなんだよ。

きっと…二宮も。

気付いてるんでしょ？自分でも。

「愛はいらない」

ってあなたは言ったけど、
本当は逆なんじゃない？

欲しくて、欲しくて。

でもなにかが、それを素直に欲することを咎めているんでしょ？

だけど無意識のうちに、自分を愛してくれる人を求めてて

心はいらない、なんて嘘ついて
身体だけの関係を持ち続けて。

でも、だったら
俺だって丁度いいはずじゃないか。

けど、あなたは俺を抱いてはくれないと言う。

他の人と同じようにあなたへ好意を持つ俺を、
抱いてくれない理由。

俺の推測が正しければ…

「…くふふ。」

「…なんだよ。」

「…ウソツキ。」

大野さんの肩を掴んで、こちらへ向かせる。

「まつ、もと…。」

ホラ、この顔。