Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ21)

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「お付き合い、されてたんですね。
知りませんでした。」

話したかったこと、言えた。
ぐっじょぶ、俺。

「お付き合い？あー…
うんまぁ…ふふ。」

え？
なんか濁した？

「でも、家庭的そうで素敵ですよね。
料理とか、上手そう。」

試した、とかじゃない。
だってあの人、彼女さんでしょ？
そう、思ったから。会話を続けたかっただけ。

でも、返ってきた答えは。

「え、あいつ？
全然だよ。料理とか特に、まるでダメ。
全くしないよ。」

え？

「え？」

「ん？」

「あ、いや…なんでも…」

最初に大野さんの自主練を見たとき、
電話の内容から料理上手な感じ、したけどな…。

と思いながら大野さんを見ると、
少し目線を落として「んふふ。」と笑った。

「松本って、こういうとき演技ヘタだね。役者なのに。」

「え…。」

「誰かから聞いた？それともおれが電話かなんかで話してるのでも聞いたの？」

「なにが、ですか…？」

「あいつ、彼女じゃないよ。」

「え…」

「料理上手い子も、彼女じゃない。」

「そう…なんですか。」

「彼女、いないしね。」

そう言って大野さんはまた、
タバコを口にしてすうっと息を吸った。

そして次に大野さんから出てきた一言は、
いつものただただ優しくて穏やかな、
あのイメージをガラッと変えてしまうものだった。

「体質なんだよね。
色んなコ抱いてないと、良い演技できねぇんだ。」

なーんて、と笑って
大野さんは首を折って更に目線を落とした。

「幻滅、した？」

そう首を傾げながら訊く大野さんは、
会話の内容とは裏腹に、子どもっぽくて…

…可愛くて。

「いやそんなこと…ないですよ。
イメージでは、なかったですけど。」

年齢も、年齢だし。
俺の周りにだって、女遊びの激しい奴くらいいる。

俺だって彼女じゃない子とそういうことしたことないって言ったら…嘘になるし。

いや、今はもうないけど。

だから幻滅っていうのはしなかったんだ。

ただ、イメージと違い過ぎて、そりゃ、驚いた。

直接話を聞いても、尚。
そういうこと、できる人なのかな、って。

大丈夫かなって。
なんだか、心配になったんだ。

「みんなには、内緒ね。」

そう微笑みながら言って、
大野さんはもう一度タバコを吸って吸い殻を潰した。

そのタバコを見つめながら、

「…わかりました。」

と返した。