Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ20)

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「わかった、今日オマエん家行くから。
それでいいっしょ？」

「絶対だよぉ？」

「ハイハイ、じゃね。…あ。」

どこかに隠れようかとも思ったが、
そんな場所なんてなく
いやそもそも隠れる必要なんてないだろ、と

「お、おつかれさまです！」

普通に、いやちょっと不自然になっちゃったけど
挨拶をした。

「…じゃあ、先帰ってるね？また、あとで。」

彼女はそう言って、大野さんから腕を外すと
俺に会釈をして歩いて行った。

「あ、の。」

なにを言ったら良いのか、正解が見つからず戸惑っていると

「ねえ松本。
タバコ、吸うっけ？」

そう、いきなり訊かれるから少し、驚く。

「あ、いや…吸わないです。」

「そっか。わかった。」

「なんで、ですか？」

「え？いや…一服しようとしてたから、付き合ってもらおうかなーと思ったんだけど…」

「付き合います！」

「いや、吸わないのに悪いし、もう帰るんだろ？その格好…」

「いいんです、付き合わせてください。」

そう言うと、いつもの笑顔で

「そ？ありがとぉ。」

そう、笑ってくるから、
やっぱりズルイ。

タバコに付き合ったのは、大野さんと喋りたかったから。

あのヒト、彼女なんだろうなって
聞いてみたくて。

喫煙所に入ると大野さんは壁に寄っ掛かって、
ポケットからタバコを取り出し一本くわえた。

眉間に少し皺を寄せながらタバコを吸うその姿は、
男の俺から見ても…セクシーで。

いやいや俺、何見惚れてんだよ！
と自分自身にツッコミを入れて、
大野さんから目線を外す。

「変なとこ見せて、ごめんね？」

指でタバコを挟んだ大野さんが言った。

「あ、いえこちらこそ…
タイミング悪くて…。」

「ふふ、松本は悪くないでしょ。
稽古場であんな風に歩いてるおれが悪い。」

そう、笑顔のままで言う。

でもその笑顔は、なんとなくいつもの
ただひたすらに穏やかなあの笑顔とは
少し違うような…。