Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ19)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:33,015 hit

5 ページ19

それからも毎日のように顔を合わせて。

大野さんは相変わらず、憧れの先輩で。

だけど最初にしるしを見つけてから数日後、
今度は故意的に、もう一度自主練を見に行ったとき、俺は気づいた。

大野さんが自主練のとき、皆と稽古しているときにはしない、
悔しそうな顔をすることに。

更に数日後、俺は気づいた。

たまに、ほんとうにたまに、
とてつもなく悲しそうな目をすることに。

そして気づいた、

そんなことに気づくくらい、
大野さんを見ている自分に。

けれど、その本当の理由はまだ、気づけなかった。

そして、最初にしるしを見つけてから10日程経ったある日、

俺はもう一つ、気づいた。

大野さんが着ていたTシャツで顔の汗を拭おうとしたとき、
見えた身体にあの時とは違う場所にいくつか紅い花が咲いていることに。

大野さんが彼女さんと会うと言っていた「再来週の水曜日」までは、
まだ数日足りなかった。

彼女にねだられたりして、会ったんだろうか？と思っていたけれど

俺はこの日、本当の大野さんを知ることになった。

稽古が終わり、着替えもする前に
所属劇団から電話があって、大分長々と話をしてしまった。

そこから着替えたり、トイレへ行ったりなんだりを
ゆっくりしていたらそれなりに遅くなってしまって。

帰る準備がやっと済んで、
さぁ稽古場を後にしよう…と歩いていたとき

「だからさぁ。
もうちょっとやって行きたいんだってば。」

「え～？いいじゃんもう～。」

「ダーメ。本番も近いんだから。」

「え～。ケチ～。」

向こうから、大野さんと女性が会話しながら歩いてきた。

大野さんの腕に自分の腕を絡ませ、
甘ったるい声で話していたのは今回同じ舞台で共演する女優さんだった。