Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ16)

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次の日も同じように朝から稽古だった。

「ちょっと…早すぎたかな…。」

朝は弱いので、毎回そんなに早くは来ないが、
今日は珍しくずいぶんと早くに稽古場へ到着した。

間違いなく一番乗り…そう思いながら入ろうとすると

「え？」

中から人の声や、ダン、ダンと足を踏み鳴らす音が聞こえる。

腕時計をもう一度見るけど、やっぱり誰かが居るには早すぎる時間。

そっと、ドアを開けるとそこには、
険しい顔の大野さんがいた。

他には誰もいない。
ひとりで、セリフを言ったり踊ったりしていた。

普段滅多に汗をかかない彼の額には汗が滲み、
冬にも関わらず暖房もついていないこの部屋は熱気に満ちていた。

それだけで、この人がもう随分と前からここで練習していたことがわかる。

その空気に、とてもじゃないけど入っていけなくて

終わるまで待ってよう…とドアを閉めたとき

「飲み物、買いに行かね？」

突然話しかけられ、思わず「わ！」と声が出た。

「あ、こら、大野さんの集中が途切れちゃうでしょ？
自販機、いこーぜ。付き合ってよ。」

「どれ？」

自動販売機にお金を入れて訊く。

「お、ラッキー♪んーと、これー。」

短い指でボタンが押されると、スポドリがゴトン、と出てきた。

最初からそのつもりだったくせに…と思いながらも

「早いんだな、二宮。」

と話しかける。

「ん、まーね。そっちこそ。あ、いただきやーす。」

「どーぞ。俺はちょっと今日早く目が覚めたから…」

人の金で買ったスポドリをゴクゴクと喉に通すこいつは、同じ舞台に出演する二宮。

同い年で経験年数もほぼ同じ、今までも何度か共演したことがあって
同期のような存在だ。