Jealousy－今誰と何しているの？（ars×ars） (ページ1)

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誰の絵を褒めているの？（O×S）ページ1

「見て、ほら。」

「ん？」

仕事を終えておれの家へ来た彼は、着替えもせずに鞄からそれを出した。

「この母子手帳。」

「…へ？」

ナニソレ。

新手の別れ話？

実は女性と付き合ってました、的な？

子どもできちゃったんです、的な？

それを伝える手段として母子手帳を見せる、だなんて

聞いたことない。新種だよ、新種。

えー、ぜんぜん気づかなかったぁ

なんて言えないよ、流石に。

一応、おれなりに真剣な気持ちだったのだけれど。

確かに二人の間に子どもを授かることは不可能だけど、
それでも一緒にいたいよねって意思確認できていた、と思っていたのに。

…でもそれって、言葉に出したか？

おれが勝手に思っていただけであって、
相手もそうとは限らないんじゃ？

だとしたら、相手を一方的に責める、なんて
できないんじゃないか？

なんて、自分を責め始めていたら。

「剛くんが描いたやつ。すげえよなあ。」

「…え？」

「絵、描いてあるだろ？剛くんが描いたんだよ、それ。
知らない？なんかすごいよね。」

…あぁ、先輩の？

そういえばそんなこと、聞いたことあったような気がしないでもない。

つまり、先輩である剛くんの描いたイラストが母子手帳に載っていて。
彼はそれを持っていたのだ。

「今度、番組にゲストでいらっしゃるじゃない？
そんで一応ご活動を調べてたらさあ、母子手帳のイラスト描いてるって知って。

へー、こんなことやってるんだー、って言ったら、何日かしてマネージャーが見本品くれた。」

「そー…なんだ。」

変な勘違いをしてぐるぐる考えてしまったおれは、
上手く相槌を打つことができない。

「今日、泊まっていいんだよね？着替えてくる。
中にもイラストあるから、見てていいよ。」

そう言って手渡された母子手帳を、おれはしかめっ面で見ていた。