5Fr�� ページ33
「やっぱり、水泳部に入ってもらえませんか？」
最後に、「遙先輩と真琴先輩には、無理に誘うなって言われてるんですけど…」と、小さな声で江は付け加えた。
今まで、何度も聞いた言葉。けれど、私の気持ちは決して揺るがなかった。
「……ごめんね」
何度も繰り返す答え。
そして、今度こそ立ち上がり、その場を去ろうとした。すると……
「待ってください！！」
そう言って、江は私の腕を両手で掴んで引き止めた。バサバサと、紙の束が落ちる音がする。
「ちょ、ちょっと、紙が……」
せっかく拾った紙が再び散らばってしまい、私は狼狽えてしまう。しかし、江はそんなことお構い無しで、真剣な顔を私に向ける。
「……せめて、理由を話してくれませんか。じゃないと、諦めがつかないんです」
どうして、そこまで私にこだわるんだろう。最初は、部員が足りないからという理由だった。けれど、今は？もう部員は足りているのに、なぜ私を勧誘するのだろう。SCに通っていたから？ハルと真琴と知り合いだから？そんなもの、断られても誘い続ける理由にしては、いささか弱い気がしてならない。
それに、理由を話して欲しいと言われても、どう伝えればいいのか分からない。何年もかけて、記憶から消したことだから。
無理やり蓋を閉じた物をこじ開けようとすると、吐き気にも似たものが体の底からせり上がってくる。胸が詰まるような感覚に、上手く言葉が出てこなくなるのだ。
けれど、何か言わなければ、この手は離してくれないだろう。そう思わせるほど、江の意志は固いように感じた。
「私は……」
目を伏せながら、私は必死に言葉を探す。
「──私にとって、みんなは……、眩しすぎるから」
必死に探して、こぼれた言葉はそれだった。
「それって、どういう………」
「ごめん」
何か言いたげな江の言葉を遮り、私は足元に広がる紙を集めだした。無言でそれらを渡すと、江に背を向けて歩き出す。
あの時、なぜあんな言葉が自分からこぼれ出たのか。少し考えてみても、答えは見つからなかった。
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ミノ(プロフ) - ちょこれーとさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！とっても励みになります！私も遙が好きなんです！これからも気長にお付き合いいただければと思います^^* (2021年6月19日 22時) (
レス) id: 39ed912905 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - この小説めっちゃ好きです！Free！の映画も楽しみですね。笑 ちなみに、私はハルちゃんと郁弥推しです！これからも作者様のペースで頑張ってください！応援してます(*'▽') (2021年6月19日 22時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノ | 作成日時：2021年5月17日 21時
