4Fr�� ページ26
隣の台所から、カチャカチャと食器同士が合わさる音がする。
あれから無事に食事が終わり、ハルが洗い物をするため腰を上げた。さすがに申し訳ないと思い、手伝おうとしたが、座ってろと一蹴されてしまった。
部屋にはハルが洗い物をする音が響く。3人の間に特に会話はないが、この空気が妙に体に馴染んだ。すると、先程から携帯の画面を見つめていた真琴から、クスッという声が聞こえる。そちらに目を向けると、視線を上げた真琴と目が合う。
「あぁ…。さっきA、蘭と蓮に会っただろ？2人とも大喜びだったみたいでさ。今度はいつ来るんだーって大騒ぎしてるみたい」
妹と弟のその姿を想像しているのか、真琴はクスクスと笑いながら言う。
真琴が見せてくれたおばさんからのメールには、ご丁寧にそんな2人の写真まで添付されていた。
「2人とも、大きくなってたからびっくりしちゃった」
「うん。また今度遊んでやってよ」
そう言う真琴を見て、お兄ちゃんなんだなぁと、しみじみと感じた。
携帯の画面から視線をずらすと、どこか見覚えのあるトロフィーが目に映った。
「あれ？これって……」
私が声を上げると、真琴は私の視線の先を辿るようにして目を向ける。
「あぁ、それ。小学校の時、リレーでとったトロフィー。ずっとスイミングクラブの所に埋まってたんだけど」
そういえば、小学校のときある男の子からそんな話を聞いた。大人になったら掘り起こすんだって。男の子なのに、随分とロマンチックな事をするなって、少しおかしくなったのを覚えている。
「でも、凛にいらないって言われちゃって…」
「……凛、帰ってきてるんだ」
「うん、最近オーストラリアから帰国したんだって。学校は鮫柄なんだけど。でもなんか昔と雰囲気が変わってて…」
…凛。随分と久しぶりにその名前を口にした気がした。
ーー『 おまえ、すっげえな！』
凛が岩鳶小に転校してきて、同じSCに通い始めた日。プールでひとしきり泳いだ後プールサイドに上がると、キラキラとした瞳でそう言われたのを思い出す。
トロフィーの近くには1枚の写真があった。その写真を手に取ると、メダルを首にかけた4人が写っている。私はその写真を、ただぼーっと眺めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミノ(プロフ) - ちょこれーとさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！とっても励みになります！私も遙が好きなんです！これからも気長にお付き合いいただければと思います^^* (2021年6月19日 22時) (
レス) id: 39ed912905 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - この小説めっちゃ好きです！Free！の映画も楽しみですね。笑 ちなみに、私はハルちゃんと郁弥推しです！これからも作者様のペースで頑張ってください！応援してます(*'▽') (2021年6月19日 22時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミノ | 作成日時：2021年5月17日 21時
