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4Fr
本格的な夏の気配が近づき、肌を照りつけるような日差しが差す季節になった。
アスファルトが、太陽の熱を跳ね返しているのではないかと思うほど暑い。私はそんな帰り道を、一人で歩いていた。
東京にいた頃は、よく友達と寄り道をしながら帰ったものだが、この片田舎にはそんな場所もない。友達と遊ぶとなったら、休日に気合を入れて遠出しなければならない。
それほどまでに、この岩鳶町はのどかな場所なのだ。
東京は、もっと物や人で溢れていた。どこへ行っても、騒がしい音が耳につくほどに。
しかしこの町は……。静かすぎて、落ち着かないぐらいだ。
海岸沿いを歩いていくと、自宅が見えてくる。
「ただいまー」
いつものように、玄関からリビングに向かって声を出した。
「あぁ、おかえりー」
お母さんの声を確認し、私は2階の自分の部屋に向かおうと、階段を登り始める。2段ほど登ったところで、お母さんが顔を出し私を呼び止めた。
「あ、そうそうA」
「なに？」
「この前、九州のおばあちゃんが甘夏送ってくれたでしょ。それを橘さんのお家と、あと遙君のとこに持って行ってあげて」
「……うぇ。それ私が行かないとダメなの？」
あからさまに表情に出てしまったのか、お母さんは呆れたようにため息をついた。
「当たり前でしょ…全く。あんた引越しの挨拶の時も、適当な理由つけてどっか出かけちゃうんだから」
どちらかというと地域の関係が希薄な都会と違い、この町では、近所付き合いというものは必須条件だった。それは私にも分かる。ただめんどくさいという思いが先走り、その時は適当な理由でサボったのだ。
ていうか、引っ越してからもうだいぶ経つし…
「そんなの今更……」
「いいから、つべこべ言わずに行ってくる！」
母の圧には勝てず、適当な服に着替えると、半ば強引に玄関から押し出された。
「はぁ……」
思わずこぼれたため息と、ビニール袋に入った甘夏を片手に、渋々と歩き出した。
私と2人の家は比較的近い。私の家の裏にある高台へと繋がる道を上り、家と家の間の細い路地を抜けながら傾斜道を進んでいくと、真琴の家に着く。そこまで行けば、ハルの家も見えてくる。
幼い頃に何度も通ったコンクリートの道を、重い足取りで進んでいく。一歩一歩進むごとに、ビニール袋の擦れる音が静かな道に響いた。
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ミノ(プロフ) - ちょこれーとさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！とっても励みになります！私も遙が好きなんです！これからも気長にお付き合いいただければと思います^^* (2021年6月19日 22時) (
レス) id: 39ed912905 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - この小説めっちゃ好きです！Free！の映画も楽しみですね。笑 ちなみに、私はハルちゃんと郁弥推しです！これからも作者様のペースで頑張ってください！応援してます(*'▽') (2021年6月19日 22時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノ | 作成日時：2021年5月17日 21時
