怪談さん【浦.島.坂.田.船.】 (ページ2)

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A サイド

はっきり言うとうちの親はクソだ。

母親は酒に溺れ父親は夜逃げ。

体にできる傷が隠せなくなって学校に行くことを私は諦めた。

先生にいろいろと言われるのは面倒だと思ったからである。

リビングの隙間から見える醜い母親の姿といくつもの酒の缶が転がっていて見るに耐えない。

パタン、

夜は好きだ。

静かだ。

星がきれいだ。

あの人たちに会える。

くるり、と振り向くと自分の家。

なんだか汚れて見えて吐き気がした。

、、、いや、もう汚れていたな。

ポケットに入っている飴玉を指で弄びながら夜空を見上げる。

こっ、こっ、と靴の音が静かな夜に飲み込まれていく。

この感覚は嫌いではない。

棘網で塞がれているはずの入り口は変な方向にネジ曲がっていてまるで"おいで"と言われているようだ。

ここに入るのはいったい何回目だろうか？

忘れた。

キィ、と悲鳴を上げるように開いた扉が私を招き入れる。

？「、、、また来たのか？」

なんて、ことを言っておきながら彼は嬉しそうに目を細めてポットを手にとった。

？「こんな話を知っているか？」

私の返事はいらない。

返事なんかしなくても彼は話を聞かせてくれる。

今日はどんな話をしてくれるのだろうと楽しみで仕方がないこの感覚が私は好きだ。

家にいるより、学校にいるより、どんな時間よりもここにいる真実が、この感覚が。

なりよりも好きなのだ。